2000-01-01から1年間の記事一覧

具体性の現代ダンス ニブロールに向けて

明日の土曜日の夕方6時過ぎには、多摩美大の上野毛後者でニブロールの新作が上演されるので、暇な人は見に行きましょう。ポストダムタイプの声もあがるニブロール。今年は千年文化芸術祭でも作品賞を取ったそうだ。最近のダムタイプの舞台が、身体を舞台に…

バレエの記憶装置

先月、キーロフバレエのバランシン*1ガラを見に行った時のこと、プログラムを見ながら開演を待っていた時の話だ。バランシンの「セレナーデ」はこれで見るのも3回目くらいなのだけど、そのタイトルを見ていたら、あるメロディが脳裏に浮かんだ。スタッフサー…

時々自動の最近の活動>RA3に向けて

1時々自動は、昨年の作品「時々自動的思考」を発表した際に、第二期の活動を締めくくると宣言した。今年、2カ月ごとに連続して公開されている「6events」のシリーズ公演は、第三期の新しいステップに向けた予備的な活動として位置づけられている。いわば透…

注釈について

初台のオペラシティでやっている東京大聖書展を見に行ってきた。死海文書の公開が目玉なんだけど、日本語への聖書の翻訳の歴史や、聖書のアイヌ語訳なんて展示してあったりして、なかなか興味深い展覧会だった。そこで、中世の聖書の写本の現物をはじめて見…

写像、射影、秋の夕暮れの曇天の青の、ビルへの

さっき授業終わったところ。指導教授のA先生に「ホームページ見た」とのこと。ああいう活動も良いけど、論文書きなさい、という御言葉を頂く。最近は、下手すると、劇場やらで、貫先生や松澤先生に会う機会の方が多かったからなぁ。(初出「虹の錯視 第二」…

虹の門をくぐることはできない

火曜日は横浜に行った。STスポットでJCDN企画のソロダンス4本。男性陣の作品が僕の好みで、女性陣の作品は僕にとっては受け付けないものだった。コンセプトを徹底できているか、観念で終わってるかの違いなんじゃないか、と思う。火曜だけしか出なかった人が…

秋の一番星

最近は、秋も深まってきたということで、フォーレの音楽ばかり聞いていた。なんとなく、秋の雰囲気にマッチするような気がしている。フォーレと言って知っている人の方が少ないかもしれない。19世紀フランスの作曲家なのだ。まぁ、名前はしらなくても、シ…

虹の旋回角度

原稿料というものを、はじめて頂戴することになった。ありがたい。最近は自分のサイトの宣伝に余念が無いのだが、文章は、届くべき人のもとにはちゃっかりとたどり着いたりしているものらしい。 そういう縁で、レセプションに招待されたりってこともあるんだ…

STスポットの「ダンス ラボ20 #8」を見る

9月2日に、横浜の小劇場「STスポット」で開催されているシリーズ企画「ダンスラボ」を見に行った。「STスポット」は、演劇や音楽などジャンルを超えて様々な作品を紹介している劇場で、幅広く独自な活動を展開しているようだ。すでに8回を数える「ダンスラボ…

振付の現在 フリーパスチケット 2万5千円

8月初旬に開かれた横断的ダンス企画「振付の現在」に参加したのはアヴィニヨンから帰ってすぐのことだった。シンポジウムや研究発表、ワークショップ、公演などなど、連日さまざまな催しが目白押しだった。はじめは、見られる限り全てに参加しようと思って…

l'artiste とは誰か? ベルクソンの一節をめぐる断章

ある掲示板でダンスについて話しているとき、ベルクソンの著作「時間と自由」第一章において「優美さ」について論じている箇所で言及されている「芸人」とは、原典ではどのような単語なのか、と質問を受けた。当の対話の相手は、僕がベルクソンを研究してい…

アヴィニヨン演劇祭に行って来た

ニブロールを追っかけて、アヴィニヨン演劇祭に行って来ました。と言うわけでしばらく留守にしていたわけです。概観だけ書きます。アヴィニヨン演劇祭は、本来の公式な演劇祭であるフェスティバル in と、便乗して始まった自由参加のフェスティバル offとが…

伝統と身体 - East Dragon 2000を見る -

6月27日に、韓国、マレーシア、日本のダンサー、振付家が集って上演した企画、East Dragon 2000を見た。会場は青山円形劇場。なによりも興味深かったのは、韓国、マレーシアのダンサーと、日本のダンサーとの身体の質の違い、そして舞台芸術をめぐる概念の違…

さまざまなFlatness -Dance in Deed! を見る-

Flatness、良く言えば均質なむらのなさ、悪く言えば平板さ、とでも言えるかもしれない質を名指す言葉である。絶対演劇派のシンポジウムで尼ヶ崎彬氏が美術について語る言葉として紹介していたので覚えたのだが、実際にどのように使われているのかはあまり良…

メタシアターの未来完了形 メガロシアターの Un systematic Analogy を見る

渋谷のギャラリー LE DECO で開催された300日画廊の主催の舞台芸術連続上演企画「低気圧の定義」の初日(6月19日)を飾ったのが、メガロシアターの作品、 Un systematic Analogy だった。Macintoshの「system 終了」と共に終わりを告げるこの作品は、どこま…

What Dance is not ? ― 神楽坂ダンシング・オールナイトを見る ―

ダンス批評家として健筆をふるう桜井圭介氏が、セッションハウスでワークショップを開いていたことは前から知っていた。参加してみようかと、ちょっと思ったこともある。結局出なかったわけだけど、なにか今までにない新しい動きを生み出すということは、か…

齟齬と違和の二重奏 -ニブロールの作品「森くん家に行く?」を見る-

5月12日にAsahiスクエアAで開催された「アートノヴァVol.1」は、3組のアーティストが参加し、パフォーマンスやトークを楽しむことができるイベントだったのだが、その機会に新進舞台芸術グループ、ニブロールの作品「森くん家に行く?」を見ることができ…

関西旅行記 ニブロールのワークショップ

2000年のニブロール大阪公演に参加したダンサー・パフォーマーの人々と会ったすぐ後に、タクシーを飛ばしておたべさん宅に向かうことになったのだけど、着いてしばらく経ってから、明日の予定はどうか、という話になって、ニブロールのワークショップに…

関西旅行記 おたべさんの家

京都では おたべさんのお宅に泊めてもらいました。京都には三泊の予定で、はじめは、京大の吉田寮にも泊まってみようと思っていたんだけど、結局3日ともおたべさん家にお世話になることになった。ネットの知り合いとか、いままで何人かおたべ邸にとまったこ…

関西旅行記(3)

東海道線を通って名古屋へ向かった ゴールデンウィーク開けの月曜日、朝御飯を頂戴していると、小父さんは一足先に出勤。すこしのんびりしたらどうかと言われたが、旅先でいろいろ見てみたいと、勤め先に向かう小母さんと一緒に出掛けて、軽自動車で駅まで送…

関西旅行記(2)

思い出 去年は、シアターオリンピックスの一公演を見に静岡に行って、親戚の家に泊まって帰ってきた。今年も関西に行くついでに静岡にたちよろうと思った。 フランス大使館が発行しているパンフレットで、フランスの演出家の公演があると知ったので予約して…

ゴールデンウィーク最後の日曜日、5月7日に出発の予定だったが、北村明子ワークショップで疲れていたせいか、寝る前にちょっと冷えるな、なんて思ってたら風邪をひいてしまい、ゴールデンウィーク後半は寝込んでいた。 だいぶ回復したと思って土曜日にはBe…

世界を織り込んでゆく線条をほんの少しなぞること -前沢知子の個展をみる-

全く独創的で、コンセプチュアルな作品を造りつづけている前沢さんから個展の案内が届いたので見に行った。2000年の5月に開催されていたもので、会場は恵比寿の「MASATAKA HAYAKAWA GALLERY」である。 今回の作品は、辞書とあらゆるジャンルの書物、冊子にあ…

翻訳劇の課題 -巻上公一演出による「エジプトロジー」の上演を見る-

特異なバンド、ヒカシューの巻上公一氏がニューヨーク・アングラ演劇の雄リチャード・フォアマンの作品「エジプトロジー」を上演するというので見に行った。フォアマンは、長年オントロジカル・ヒステリック・シアターと言う劇団を率いてきたのだという。 …

ダンスワークショップ体験記

2000年の4月10日から13日まで、東京は神楽坂のダンス・スタジオ、セッションハウスで開催されたジャン・サスポータス氏のダンス・ワークショップに参加した。その経験を記録したい。その前に、いままでのワークショップ経験を振り返っておきたい。 1.きっか…

ニブロールの公演「東京第一市営プール」をみる

舞台芸術を見るとき、スポーツを観戦するように見るべきだ、と言われることがある。スポーツにおいては、有効なポイントを得るための 的確さが全ての身体運動に要求される。的確さの基準は、定められたルールのなかで、おおよその場合誰の目にも明らかだ。選…

できることを組み合わせる仕方 −時々自動の公演「R.A.1」をみる−

「時々自動」 というのは主に舞台芸術の作品を発表している集団の名前で、全自動ではないけど時々自動、というような意味のある名前であるらしい。映像や音楽やダンスや演劇を組み合わせた様な舞台を作っているのだけど、面白いのは既存の手法に則るのではな…

献血に行く

2月の始めに風邪をひいて寝込んでいたら、誰かから電話があった。こんな時に誰だろうと思って電話に出ると、献血センターからの催促だった。冬には献血者が少なくって血が足りなくなるらしい。多少の暇ができたので、吉祥寺に献血に行く。初めて献血したの…

鉄道・車両・移動・視野・記憶...

f氏から譲ってもらったパワーブックにフロッピーを詰まらせてしまったので、Macに詳しいnさんのお部屋にお邪魔して直してもらった。池袋の近くの都電鬼子母神駅のそばで、サンシャイン60ビルを見上げる界隈だ。古く良き東京の町並みが残っている。無事に用…

ただひとつの孤独のような文字 - DanceTheater LUDENSの「Be」-

先日、新宿のパークタワーホールに日本で活動しているダンスカンパニーDance Theater LUDENSの公演を見に行った。 タイトルは「Be」。男女合わせて5人のダンサーが出演する。オープニングではスピーディーな群舞が披露されたが、これから始まる公演が、どの…