2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

POTALIVE再考(8)―寺山的市街劇との差異と反復

ポタライブは野外で行われる演劇である。というと、ちょっとでも日本の演劇を知っている人はやはりすぐに寺山修司のことを連想するだろう。寺山修司の「市街劇」とポタライブの関係についてすこし整理しておきたい。ポタライブがアゴラ劇場のサミットで上演…

書評を読めばダメな理由がわかる―二つの「知」と古臭い感性+8

なんかダンコーガイ氏がひどい書評を書いたという噂がTumblrを流れてきたので、久しぶりに当該書評を見てみたら、シノドス*1の本を口汚く罵っているのね。日本を変える「知」 (SYNODOS READINGS)作者: 芹沢一也,荻上チキ,飯田泰之,鈴木謙介,橋本努,本田由紀,…

タイトルの記号と追記の仕方

タイトルの後ろについている「+」記号は、書き足しがあることを示します。 「++++」を超えたら「+5」と数字を加えて変えていくことにします。追記の仕方を統一していませんでしたが、これからは、追記はどんどん下に加えていく形にし、追記した日付を…

4月5月に見た舞台(2)谷賢一関連 

谷賢一のショート7 http://www.dcpop.org/2009/05/7.html Aプロだけ見ました。 『ソヴァージュばあさん』 翻訳短編小説を翻訳調短編演劇に。 フランス語とドイツ語をどっちも日本語で演じているところ。 火事の場面、良く効果を出していたと思います。少な…

4月5月に見た舞台(1)MSA関連 (ββ)

少しずつ感想を書き足して行きます。 ■鳥公園『家族アート』 4月21日23日(木)19:30 脚本/演出|西尾佳織 出演|森すみれ、他 照明|三枝淳 音響|佐久間修一 舞台美術|大泉七奈子 制作|塩田友克 伊藤比呂美の原作をちょっと読んでみると、この語りの面白さ…

『ゼロ年代の想像力』を読み直すためのレッスン+++

アクセス状況を見ていると、5月に入ってから『ゼロ年代の想像力』で検索して 『ゼロ年代の想像力』を読んで腹を立てた人のために(再加筆版) - 白鳥のめがね の記事を読みに来る人がちょっと増えている。あれかな、新大学生が受験が終わってさあ読み始めよ…

Lifeでゲストの東浩紀/「私」を守る++

TBSラジオで日曜深夜にたまにやってる、鈴木謙介がホストのラジオ番組「Life」に東浩紀がゲスト出演するというので、聞いてみたが政治性についてまとまった話がされていたところが面白かった。 文化系トークラジオ Life: 2009/05/24「現代の現代思想」(東浩…

「キレなかった14才 りたーんず」、あるいは演劇の再起動

劇評サイト/メールマガジンのワンダーランドに、「キレなかった14才 りたーんず」全体を振り返って論評した記事を寄稿しました。以下、紹介をかねて多少の補論を。 ワンダーランド wonderland – 小劇場レビューマガジン準備期間も含めたフェスティバルの全…

作中現在がずれていく(2)―『ガラスの仮面』と演劇史―

作品完結が長引くと作中現在がずれてしまうって話でいえば、リアルな現在の方にあわせちゃった『ガラスの仮面』がすごいことになってたんだった! それにしても昭和から続いているマンガで携帯電話を出すのはやめてほしかった。全体の雰囲気としては昭和っぽ…

3年遅れの「笹の葉ラプソディ」/国内外ファンの反応+

※長門ファンのティピカルな反応 まあ、「エンドレスエイト」の件を考えれば、長門の3年間が苦しいとかなんとか言うのはちょっと思い入れが過ぎるよね、とか(5月25日追加) 長門と共に過ごした3年間::笹の葉ラプソディ::クリティカルヒット 2009-05-23 - ちょ…

作中現在がずれていく−3年遅れの「笹の葉ラプソディ」雑感+7

なんかこのエントリー(↓)ひとつでプロモーションとしては大成功だったかと思えてくるハルヒ第二期スタートの今日ですが*1。 個人的にはエヴァンゲリオンは最後にハマったアニメで非常に好きだったのですが、もうああいうアニメは見られないんじゃないかと…

Paxton,Deleuze, >

パクストンが来日していることにしばらく気がつかなかったので、スパイラルでの公演は見なかったのだけど、早稲田の講演を聴きに行った*1。それで、ドゥルーズの「Vice-diction」という言葉について考えた、という話です。 http://www.ddjc2009.org/#/waseda…

『日本語が亡びるとき』を読みなおすためのレッスン#4

わたしたちは、自分の故郷や言語を「当然」のものとみなすので、それらは「自然」なものになるが、それらを支える諸前提は気づかれることなく、ドグマや正統思想になる。したがって、自分の家でくつろがないことは、道徳の一部であるのだ。(エドワード・サ…

『伝わる・揺さぶる!文章を書く』というタイトル。

山田ズーニーさんの第一作を読む読書会、2回を終えました。 『伝わる・揺さぶる!文章を書く』を読む読書会 - 白鳥のめがね伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)作者: 山田ズーニー出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2001/11/01メディア: 新書購入: 49人 …

POTALIVE再考(7)

「百軒のミセ」がポタライブと呼ばれたのは何故か、という問いから始まる「POTALIVE再考」のシリーズですが、「百軒のミセ」の先行事例のひとつがアゴラ劇場「夏のサミット」に参加した『LOBBY』ということになるようだ。 POTALIVE 駒場編Vol.2『LOBBY』 作…

POTALIVE再考(6)

POTALIVEとはなんだったのか。岸井さんの2006年10月のブログにポタライブの道のりを初めから振り返っている記事がある。抄録しながらリンクして紹介したい。 略:::会社を辞めた直後のエネルギーで,集中して1ヶ月で創ってしまったのが「源」。4月30日に上…

『日本語が亡びるとき』を読みなおすためのレッスン#3

島尾敏雄『新編・琉球弧の視点から (朝日文庫)』を読む。島尾敏雄は50年代から奄美に住んで、70年代ぐらいに「ヤポネシア」論を展開していた。「ヤポネシア」というのは日本を「ミクロネシア」や「メラネシア」のような列島(大小の島の連なり)として捉え直…

「ケブンッリジ大学の研究の結果」とその教訓について+6

「ケブンッリジ だがいく」の研究結果として単語の最初と最初の文字があっていれば順番が違っても言葉が読める、というコピペが流行した。実のところ「最初と最後の文字さえ合っていれば読めてしまう」というのは正しくない。2003年に英語圏で流行したコピペ…

『グァラニー 〜時間がいっぱい』評(2) ノスタルジックな未来

6�l�̉��o�Ƃɂ����A���㉉�u�L���Ȃ�����14��♥�肽�[�񂸁v�w�O�@���j�[ �`���Ԃ������ς��xかつて高橋源一郎が「メタフィクションの作者は、どこかで恥ずかしさの意識を持っていないとダメだ」みたいなことを言っていたのを読んだ記憶がある。メタ演劇的に捩れた構造を…

清志郎が歌う、過去へジャンプする、未来へ

仲俣さんのブログを読んでいて、故忌野清志郎がイエス・キリストに深い敬意を寄せていたことを初めて知った。 この本のなかで繰り返し、「神」や「キリスト」が言及されているのが気になる。聖書をそのまま訳した長い文章も載っているし、そのほかにも「不思…

POTALIVE再考(5) 芸能と祭儀と

PASでの車座対談以来、挨拶をすることも無かった武藤大祐さんと久しぶりに言葉を交わしたのは4月20日のアゴラ劇場ロビーだった。 ダンス批評の武藤さんとかと20日に話す: 21=2009.05.06.−04.16. ここ3年、4年くらいDMonWEBすら一切見ていなかったのだけど…

『すご、くない』

6�l�̉��o�Ƃɂ����A���㉉�u�L���Ȃ�����14��&e�肽�[�񂸁v�w���NB�x4月30日のマチネに鑑賞。その日はでぶ学を見るのはやめて2009-04-30 - 白鳥のめがねの記事を書き、ディープラッツまでポタライブを見て、蜻蛉玉の公演を見た。今回の「キレなかった14才りたーんず…

『グァラニー 〜時間がいっぱい』

http://kr-14.jp/kr-14web/4月29日のマチネに見る。終演後、知人と話したりして、でぶ学講座を聞いて、夜はディープラッツに行った。この作品については、5月5日に、フェスティバル関連企画の岸井さん、九龍ジョーさんと作・演出の神里雄大さんのトークで、…

『少年B』評その3(改題)合唱と独白の間

『少年B』について、自意識を描いた作品として解釈し、歴史的に位置づけるという議論を進めてきた。 『少年B』あるいは、自意識の劇場(上)+ - 白鳥のめがね 『少年B』あるいは、自意識の劇場(中) - 白鳥のめがね(中)に書いたところまで考えたとこ…

キモいと日本人があまり言われなかった理由++

さいきん、天皇制についての自分の思いについて語ったばかりだが(天皇制が補完されることについて - 白鳥のめがね)、そしたら、昭和天皇の誕生日(みどりの日昭和の日)に次のようなブログ記事が出ていたのを読んだ。そのあと考えたことをちょっと書いてお…

『少年B』あるいは、自意識の劇場(中)

『少年B』あるいは、自意識の劇場(上)+ - 白鳥のめがね の続き。『少年B』で「猫を轢いてしまう」エピソードが作品全体の軸になっていることをめぐって解釈を進める。「りたーんず」の雑誌に掲載された戯曲は、上演の台詞と食い違う点もあるようだが、…

『少年B』あるいは、自意識の劇場(上)+

4月27日ソワレ。すこしロビーに居て、公演を見て、帰る。 http://kr-14.jp/kr-14web/ お話としては、こんな感じだった。僕が14才のころ、自分の通っていた学校の校門あたりに動物の死骸が置かれているって事件が起きていたりして、自分はお笑い芸人を目指し…