演劇

クロムモリブデン『恋する剥製』

クロムモリブデン自体はじめてみるけど、名前は聞いたことがあった。作風としては、すこしスタイリッシュで軽快だけど、基本は王道の小劇場スタイルというか、80年代以降の良くあるタイプの演劇の範囲に収まっているとは言えると思う。だから、僕みたいな観…

鰰[hatahata]『動け! 人間!』(「深海魚」)

昨年のりたーんずでは、神里さんと白神さんが一押し二押しの自分だったので、ふたりのユニット鰰はだいぶ楽しみにしていた。鰰ははじめ「神々」という名前で発表されていたけど、それが鰰に変わることも含めて、楽しんでいた。「深海魚」を一回だけみた。 ht…

百景社『しらみとり夫人/バーサよりよろしく』

SENTIVAL!の参加作品ということで、見に行った。 http://pull-top.jp/sentival.htmlテネシー・ウィリアムズの短編を二本連続上演するもの。 百景社を見るのははじめて。利賀村の流れという印象は強かったけれど、どこかポップな諧謔みたいなものがあるよう…

アップリンクで「文(かきことば)」

PLAYWORKS#4 『文(かきことば)1』の二日目を見た。 PLAYWORKS#4 『文(かきことば)1』 | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ「文(かきことば)」は、今までのスタジオでの試演会を何度か見てきていて*1、ソロとしては伊東沙保さんが昨年の渋谷で上演…

演劇ユニット「.5」の『ダブル』

.5(てんご)の『ダブル』を見に行った。吉祥寺のハモニカキッチンの屋上テラスで上演という企画。一度、あそこで飲んだことがあったので、改めて親しみ深い時間だった。澄井葵さんとは岸井大輔さんのワークショップを一緒に受けたのをきっかけに、岸井さん…

ナデガタの美術館開放

Nadegata Insatnt Party(中崎透+山城大督+野田智子)*1による“Closing Museum,Opening Party"で上演された練馬美術館での市民劇「ひらいて とじて その手を上に」を見てきた。 Closing Museum,Opening Party@練馬区美術館 : Nadegata Instant Party当日…

フランケンズ『スピードの中身』

次の公演を公園に見に行った。 中野成樹+フランケンズ2010新作公演 『スピードの中身』 2010年3月20日(土)〜3月21日(日・祝) 会場 所沢航空発祥記念館 PR・解説 堅苦しいイメージの海外戯曲を、原作に敬意を払いつつ、今の我々の物語に仕上げる『誤意訳』な…

「メイエルホリドとわたしたち ―映画『白鷲』を見ながら」

早稲田の演劇博物館でやってたメイエルホリド展の関連企画に出かけた。ついでに展示も見て演博で調べものしようかなと思ってたけど、結局講座だけ参加して帰った日*1。 関連演劇講座「メイエルホリドとわたしたち ―映画『白鷲』を見ながら」 第一部 メイエル…

チェルフィッチュ『私たちは無傷な別人であるのか』についての私見

3月22日、演劇サイトPULL(http://pull-top.jp/)でのライブトーク*1でチェルフィッチュ『私たちは無傷な別人であるのか』を取り上げる予定なのだけど、その前に自分の今の時点の感想を簡単にまとめておきたい。 主な登場人物 『私たちは無傷な別人であるの…

リズム三兄妹(再演)

岡崎芸術座の『リズム三兄妹』を見る。 http://okazaki.nobody.jp/next.htm http://okazaki.nobody.jp/rhythm/初演は、DVDをちらっと見たことがあるけど、この作品を舞台でみるのは初めて。昨年の『ヘアカットさん』が続編のような位置にあるのかな、次の作…

イラクとチュニジアの演劇を見る

ご招待いただいたので、タイニイ・アリスで二本見る。++Alce today++ Mustheel-alice fromバグダッド 「Abu Ghraib―アブグレイブ刑務所」 ☆演出= アナス・ヘイテム 「イラクのバグダッドからムスタヒール・アリスが日本には珍しいセノグラフィー演劇を引っ…

OM-2「作品No.7」について

ワンダーランド wonderland – 小劇場レビューマガジン関連してTwitterにつぶやいたことをまとめておきます。 全力で危うさに憧れる普通の人がいろいろしながらただ舞台にいる という点で OM-2 はずっとおんなじことしてるな。 6:51 PM Feb 13th yanoz on Twi…

三条会の『S高原から』(2)

三条会がこないだ上演した『S高原から』を初日に見たわけだった。 三条会の『S高原から』(1) - 白鳥のめがね 前回はパフォーマンスや演技の魅力に触れつつ語ってみたわけだけど、今回は演出のレベルでこの上演のよさについて考えてみたい。平田オリザの『S…

三条会の『S高原から』(1)

三条会の『S高原から』初日を見た。 ◎三条会『S高原から』 平田オリザ 作 関美能留 演出1月17日(日)14:00/19:00 1月18日(月)19:00 ◆会場:下北沢ザ・スズナリ◆出演:大川潤子、榊原毅、立崎真紀子、橋口久男、中村岳人、渡部友一郎、江戸川卍丸(劇団…

配置ガールと森がある(続き)

この日、けのびの試演会を見に行こうとして方南通りをさまよっていたら、神村恵さんとばったり会ったので、チラシを忘れて会場がわからない僕は、なんとなく神村さんと一緒に会場にたどり着いた。 けのび公式サイト:当日とエ−ルその日、前エントリー「配置…

管見M-1 2009

ここ数年M-1を見てますが、今年のM-1の笑い飯の鳥人のネタには私も感動しました。紳助が100点つけるのもわかるわーって感じ。 ネタとしての面白さと、それをパフォーマンスとしてやりぬく集中力。会場を巻き込むライブとしてのすばらしさ。あらゆる意味で完…

『忠臣蔵(と)のこと』とのこと

アルテリオ小劇場に出かけてみた。ドラマトゥルクの長島確さんが、中野成樹さんの誤意訳の方法を用いて日本の伝統に向かい合うことはできないかと考えてオファーした企画で、来年の本上演に向けたセミナー・ショーという雰囲気の企画だった*1長島さんのコン…

台車舟にのる/台車プロジェクト顛末記+

岸井さんの「墨東まち見世ロビー」の企画には注目してきた私なので、「スキマ(仮)」の案内をもらった時、OVAと岸井さんが組むなら面白そうだと、あまり良く考えずに参加するという返事を送った。 門脇篤「墨東まち見世」行き多文化台車出発模様 | cream ラ…

『宴の身体』/芸能の地層

『宴の身体』という本を読んで思ったことなどいくつか。著者の松岡心平という人は、「橋の会」で能の上演にも積極的に関わった人とのこと。宴の身体―バサラから世阿弥へ (岩波現代文庫)作者: 松岡心平出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/09/16メディア: …

アジア舞台芸術祭/神里さんと中野さんとか

アジア舞台芸術祭の2演目を見てきた。 http://www.butai.asia/j/ アジアンキッチンハノイ編 ひとつは、神里雄大 作・演出のアジアンキッチン、ハノイ編。 アジアンキッチンというプログラム自体が、東京の池袋近くにあるエスニック料理店の料理を30分くらい…

飴屋法水演出『4.48 サイコシス』劇評 補足+

フェスティバルトーキョーの劇評コンペに応募しました。 http://festival-tokyo.jp/gekihyo/2009/11/448-psychosis.html字数制限にあわせて草稿からカットした部分をピックアップしながら補足。 原作戯曲の韻文的性格について いろんなところで韻を踏んでた…

東に沈む朝日と出会いのダイアローグ/『生きてるものか』

僕は『生きてるものはいないのか』を見たことはなくて、今回も見なかった*1。なので、二作品の呼応関係は度外視して単独の作品として評価せざるを得ないのがすこし残念だけど、いずれ再演されるものと信じてその機会を待ちたい。今回『生きてるものか』だけ…

唐十郎『盲導犬』から帰る−+

唐突だけど表向きまったく関係のない引用から始める。 『音楽のおしえ』もまた、音楽から何らかの人生観や審美的態度、「〜主義」などを引き出そうとする姿勢(例えば、小林秀雄の「モオツァルト」のように)を徹底的に拒否するために書かれているように思わ…

神の裁きと決別するために/管見『コンプレックスドラゴンズ』++−

The end of company またの名を、ジエン社の、『コンプレックスドラゴンズ』という舞台作品を見た。 http://elegirl.net/jiensha/main/archives/146#more-146 これまでまったく噂にも聞いたことがなく、何も知らなかったこの劇団を見に行ってみようと思った…

陳腐さの絶対肯定/『ヘアカットさん』覚書

アゴラ劇場で岡崎藝術座の『ヘアカットさん』を見た。日本社会がこれからさらに困難に直面し負債と可能性のせめぎあうなかでさらに多くの人が苦しむであろうときに、求められるのはこういう演劇だろうと思う。若さと貧しさを肯定する演劇だから、今の若い人…

shelf「私たち死んだものが目覚めたら」雑感/日本近代演劇の批判的継承の不可能さ

shelfの公演「私たち死んだものが目覚めたら」を見た。 shelf | 更新情報 私は矢野さんがやっていることにもともとあまり興味はなかったけど、やっぱり興味を持てないということを再確認したというところだ。今回の舞台も、私にはどのような意義があるのかわ…

ダルカラ、サイコシス 雑感

ダルカラ(DULL-COLORED POP)の4.48 Psychosisを原作にした舞台『心が目を覚ます瞬間〜4.48サイコシスより〜』を見た。 CoRich 『心が目を覚ます瞬間〜4.48サイコシスより〜』私はSarah Kaneに特に思い入れはないし、原作になっているテキストも目にしたこ…

『わが星』とままごとの危機、あるいはセカイ劇場+

柴幸男さんが自分の団体として立ち上げた「ままごと」名義の新作『わが星』を見てきた。 http://www.seinendan.org/jpn/infolinks/infolinks090809.htmlこの作品をみて、柴さんがどこで勝負していくつもりなのか、はっきり見えたような気がする。それは、あ…

浦和美園の劇団どくんご+

浦和美園で行われた劇団どくんごの公演は、イオンのショッピングモールが奥に見える原っぱ。駅前のロータリーの外れで行われた。このロケーションで見られたのは、良かったなと思っている。「ただちに犬」の公演では、丹生みほしさん*1のモノローグがクライ…

劇団どくんご「ただちに犬 Deluxe」

この日の夜、テント芝居で全国を旅している劇団どくんごの埼玉公園見てきました。 以下、エウテルペMLとかMixiに書いたことを転載します。ひとりでも多くの人に、この舞台を見る幸せを、味わっていただきたいな、と。http://homepage3.nifty.com/dokungo/ind…