2004-01-01から1年間の記事一覧

大岡淳演出「コンベヤーは止まらない」をめぐって(1)

先日、大岡さんからエウテルペMLに公演の宣伝があった。 http://groups.yahoo.co.jp/group/euterpe-ts/message/393 桐朋学園芸術短期大学芸術科演劇専攻2年B試演会ということ。私は、12月11日(土)のAプロ(15:00開演)の回を見てきた。 その公演…

フィレンツェ展

昨日、東京都美術館の「フィレンツェ 芸術都市の誕生」展を見てきた。なかなか良い企画展だった。展示は、都市/絵画/彫刻/金工/建築と居住文化/織物/医学/科学、と8つのセクションに分かれているのだけれど、それぞれのセクションの冒頭に、石に職業…

色の深さ-マティス展を見る

『絵画と現代思想』の酒井健先生が「マティス展是非見てください。たのんだよ。」とかおっしゃっていた。知人でも「良かった」と言っている人が多かったので、見に行っておこうと思った。マティスって、「なんたら美術館展」みたいなのとかで目にする機会は…

舞台のスペクタクル性について −「猿若吉代の会」を見る−

チケットが当選したので、11月24日に国立劇場小劇場に日本舞踊の公演を見に行く。猿若吉代が、自身の振付た清元「柏の若葉」(いわばソロ)と、父であるらしい猿若清方の作品「かしく道成寺」(芝居がかった規模の大きい作品)を踊るという会だった。日本舞…

チェルフィッチュの『労苦の終わり』について(後編−第3稿−)

http://d.hatena.ne.jp/yanoz/20041107#p1(前編) http://d.hatena.ne.jp/yanoz/20041108#p1(中篇) に続く。いくつかの、散漫な、ディテールの話。○ディテールその1。「バンザイ!」 この作品は、結婚祝いの飲み会(男のみの旧友同士での)を一人だけ早…

庭劇団ペニノ『黒いOL』

8日月曜の夜に見に行く。新宿の外れの野外にテントを張った公演ということで、場所の選び方も気になる点だけど、これがすごかった。ビルの谷間に、時代に取り残された空間が広がっているという雰囲気。バブル期の地上げでそこら中虫食い状態のなかに、木造モ…

チェルフィッチュの『労苦の終わり』について(中篇-Ver. 1.2-)

http://d.hatena.ne.jp/yanoz/20041107#p1からの続き。『労苦の終わり』の系譜をたどる話から、語りなおそうか。『マリファナの害について』は、一人芝居だったのだけど、語り手が友達のことを話していて、その話し方をまねながら話しているのかと思うと、い…

チェルフィッチュの『労苦の終わり』について(前編)-第二版-

金曜日、チェルフィッチュ岡田利規の新作をSTスポットに見に行く。演劇作品であって、お話としては、いくつかの主となるエピソードが緩やかに結び合わされ、その周辺にディテールが散在しているといった感じ。まずお話の内容を整理しておこう。核となるのは…

様々な終わりが巻き込まれてゆく始まり

2004年9月上旬。私は、房総半島の突端辺り、東京湾が太平洋へと開いている近くの浜辺を、幾人かの知人と歩いていた。遠くに台風が北上しているという話だったが、その日、内房のあたりは良い天気だった。浜辺から、桟橋が伸びていた。なにより釣りが好きな先…

exhibition+dance [景]

ダンサー・中村公美と撮影家・kamata motokoのコラボレーション展示 http://www.jotomo.com/wisp/kei/土曜日の昼見に行く。 ギャラリーでのダンス公演というのは、ペッパーズギャラリーでのシリーズ企画とかに足を運んだこともあるけれど、やはり舞台でみる…

『寝台特急“君のいるところ”号』

中野成樹(POOL-5)+フランケンズwith friends featuring劇団EnTRoPy ●原作=T・ワイルダー「特急寝台列車ハヤワサ号」 ●構成&演出=中野成樹(POOL-5) ●出演=村上聡一/福田毅/野島真理/石橋志保/劇団EnTRoPy/斎藤範子/岩本えり会場は例によって横…

について(承前)野島秀勝の場合

今回は ライオネル・トリリング『と』野島秀勝訳(法政大学出版局) ISBN:4588002686 の「訳者あとがき」から。 「人間がもっともリアルな状態に肉薄し得るのは、われわれすべてに共通なのなかにあるのではなく、むしろ霊的権威に依存する倫理的魂の葛藤の瞬…

遅ればせながら参考文献表

ジンジャンの『RとJ』についてのレビュー http://www.jade.dti.ne.jp/~stspot/Mag/28th.htm を書いたとき、参考文献リストを付けようかなと思って、でも英語の本だし、いろいろ煩瑣だし、やめておくか、ということに結局なったのだけれど、それでも手の内を…

ポツドールのアニマル

10/8ポツドールの公演「ANIMAL」*1を、三鷹芸術文化センターに見に行く。映像では見たことがあるがポツドールを舞台で見るのは初めてだ*2。開演前からギャングっぽいヒップホップが流れている。開演すると、イントロ映像からスタート。劇団名や暴力を暗示す…

グッゲンハイム美術館展に行ってきた

メルロー・ポンティのセザンヌ論を読むゼミの先生が繰り返し話題にしていたので、見に行ってみた。印象派からポップアートまでの主要な画家のを並べましたという感じで、そんなに派手な作品は無かったけれど、さすがに粒ぞろいで、近代から現代までの流れを…

イマージュ・オペラのマーカイム

10/4月曜日、阿佐ヶ谷ヴィオロンにイマージュオペラ=脇川海里の公演を見に行く。 スティーヴンソンの文学作品にインスパイアされた作品ということだったけれど、確かに、世界に安住できない存在が、世界との不和、その乖離に懊悩する、といった主題が垣間見…

未来の心ゆく姿をば(折口信夫「文学を愛ずる心」)

なんだか気がふさいでシューティングゲームをしていると、アザラシが応援してくれる朝

文楽の音楽性、それと、歌舞伎の絵画性

9/16に、国立劇場に文楽の公演(夜の部)を見に行った。いろいろ縁があって、さそわれて見に行ったのだった。演目は『恋女房染分手綱』(こいにょうぼうそめわけたずな)。公演にはいろいろと感銘を受けたりしたのだけど、古典芸能は、オペラとかバレエを見…

誰のために「国宝」を守るのか?(小松左京『こちらニッポン…』)

おとといの土曜日はマラソンリーディングに行った。雪舟えまさんの朗読に感動。昨日は歌(の)葉新人賞の公開審査会を見てきた。思ったとおり(願ったとおり)の結果。歌集が今から楽しみです。

韓国・地球演劇研究所「ワーニャ伯父さん」

チェーホフの作品を、再現的なリアリズムで上演する作品だった。字幕がテンポはずしまくりで、寝不足で疲れていたので、二幕までみれば十分と思い、休憩中に帰ってしまった。というわけで、今回は勝手な感想を書くのみです。韓国語のリズミカルな響きは心地…

ジンジャントロプスボイセイの「かもめ」(初日に見た)

チェーホフの『かもめ』を、自殺する主人公の回想として圧縮凝縮して演出。視覚的には、簡素に様式化され、キャラクターのそれぞれもパターン化され誇張されたコスチュームでねじくれた身振りをする。そうした仕方で、登場人物たちの俗悪さだけが強調されて…

短歌の鬼

先週、現代詩手帳の春日井健追悼特集を購入ISBN:4783718598。読み進めているところ。 私は、亡くなって初めて、その存在の大きさを知った。歌集では、『白雨』をちょっと読んだことがあるだけだ。加藤治郎氏の追悼文を読んであやうく泣きそうになった*1。春…

ユーモアとダンスをめぐる諸々の断章

先週書いた通り、We love dance Festial ユーモア in ダンス 東西バトル編、東京公演、全八作品を見た。 http://www.welovedance.com/humor/index.html前橋とか松山とか岡山からのグループが京都と東京で公演できるというのは、JCDNの試みが実を結びつつある…

チェルフィッチュの「クーラー」について

We love dance Festial ユーモア in ダンス 東西バトル編、東京公演を両プログラムとも見てきた。全八作品。 http://www.welovedance.com/humor/index.html初日は、チェルフィッチュ*1を見るために出かける。「クーラー」という作品。演劇グループなのに、身…

ニブロール『NOTES』についての注釈

ニブロール『NOTES』、8/21昼の公演を見た。 http://www.nibroll.com/news/notes-detail.htm『日の丸ノート』演劇公演『ノート(裏)』ダンス公演『NO-TO』の三作品をベースに再構成した「最終バージョン」だそうだ。都内で上演された「ノート」シリーズ…

「ホーム&アウェー」〜アメリカの短編を2つ〜中野成樹(POOL-5)とフランケンズ

7/21の夜に見に行った。 http://wonderland.tinyalice.net/cgi/mt/archives/0120matsumoto.php にレビューが出ていて、ほぼ同意。第一部 「楽しく小さな家族旅行(あるいはちょっとした夢の話)」 原作/T・Wilder『The Happy Journey to Trenton and Camden…

dotsの公演『うつつなれ』について

8/7の昼の公演を見に行った。京都造形芸術大学のプロモーションが目的だったというわけだろう。学生劇団が先生たちのお膳立てで公演する運びになったんだろうなあと想像させる展開だったわけだけど(こういう感想は、http://d.hatena.ne.jp/mmmmmmmm/2004080…

ピナ・バウシュの『バンドネオン』

『バンドネオン』は、ピナ・バウシュにしては地味な作品なんだろう。地味めな作品にもそれなりの魅力があるというのがわからない人は、見る目がないんじゃないかな。場末のダンスホールみたいなセットが組まれた舞台の上に、とてもシンプルに、いくつかの限…

市村弘正『小さなものの諸形態』

の増補版が平凡社ライブラリーから出ましたね。昨日、本屋で見ました(法大のそばの店なので平積みだった)。広く読まれて欲しいものです。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582764967/3w-asin-books-22/250-8208810-9162655http://www.heibonsha…

先生 減点は わたしに (『なずなよ なずな』)

夜中PCに向かったりすると、余計に寝付けなくなりそうで、帰りが遅かったこの頃はPCに何か書き込むということは避けていた。しかし結局なかなか寝付けなくて、出かける間際まで寝てしまい、家事を優先させていたりすると(洗濯やら洗物やら、二人分がたまっ…