2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ピナ・バウシュ追悼

たとえば、バランシンやクランコの振付作品を私たちは今でも見ることができるし、ニジンスキーの振付が記譜された譜面から再現されるということもありました。振付作品は残る。私はダンサーよりも振付家が注目された時代にダンスを見始めました。そのことが…

『動物ポモ』再読(2・改)―社会と死

人間は動物である。だから人間が動物化する、といっても別に驚くべきことはない。石が鉱物化すると言っても別に驚くべきことはないように。では、なぜことさら「動物化」という言葉を東浩紀はキーワードにし、問題にするのだろうか。人間には、ただの動物で…

『寛容のオルギア』雑感/衰え方を学ぶ必要+

ヤン・ファーブルの舞台を実に15年ぶりに見てきました。ヨーロッパ人が衰弱においてどう生きようとしているのか、そこから学ぶべきものは多いと思いました。 東京アートパトロール : ヤン・ファーブルの新作「寛容のオルギア」 asahi.com(朝日新聞社):ユ…

『五人姉妹』雑感/現代日本という泥沼であがいてみせること−

吉祥寺シアターにnibrollの矢内原美邦が作・演出・振付した『五人姉妹』を見に行ってきた。基本的には全編モノローグの喜劇*1である。複数人が出てきても構造としてモノローグになっている。全体にノスタルジックな調子だが、現代日本のある種の閉塞感を寓意…

『動物ポモ』再読(1)―Kojeve/Yiyeasu/Snobisme

東浩紀の『動物化するポストモダン』(『動ポモ』と略す)のキーワードとなる「動物化」は、ロシア出身の哲学者アレクサンドル・コジェーヴの議論からヒントを得て用いられた言葉だ。東浩紀自身が、同書の中で『ヘーゲル読解入門』(Introduction a la lectu…

AMNブロガー勉強会、あるいは「スゴイと言ったら伝わらないこと」+

twitterでAMNの企画があると知ってすかさず応募したのだけど、参加した結論のひとつは、やっぱり今はtwitterが旬、ってことだった。あと、Webって結局、きっかけにすぎないんだな、と思った。それだけに、限りなく有意義にも、限りなく重たいものにも、なり…

アルトロジーに触れて(ウルトラブッダギャラクシー/神里雄大)

アルトロジーというイベントに行ってきた。アルトーといっても演劇とか思想に興味が無い人にはわからない名前かもしれないけど、「器官なき身体」という言葉を残してドゥルーズとかデリダとかをインスパイアし、「残酷演劇」という理念を残して20世紀の演劇…

ハイバイ「リサイクルショップ『KOBITO』」

ワンダーランドのクロスレビューに次のような評を寄せた。以下引用。 集団性の演劇、という観点からポツドールと比較できる(集団性を世代や性別に還元する必要はない)。ただし『KOBITO』では個人史の束として集団の歴史性まで捉えている点で、遥か遠くまで…

少年Bとアジカンと

どちらかというと個人的にはキュートンが使った曲として印象に残っているわけですが。 カラオケである人が歌っているのに居合わせて、初めて歌詞の内容を意識した。それで「少年B」のことを思い出した。 歪んだ残像を消し去りたいのは 自分の限界をそこに見…

ユニクロカレンダー雑感

海外からの注目も高いユニクロカレンダーですが、ちょっと感想を。 http://creativity-online.com/work/view?seed=1ae98bd7 ユニクロ、新感覚カレンダー「UNIQLO CALENDAR」を公開 - CNET Japan実際の風景がミニチュアっぽく、Nゲージのジオラマみたいに見え…

『おかしな時代』―出版編―

おかしな時代作者: 津野海太郎出版社/メーカー: 本の雑誌社発売日: 2008/10/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (27件) を見る新日本文学→晶文社→『ワンダーランド』創刊(のちの宝島。VOWのタイトルはワンダーランドに由来)…

津野海太郎の『おかしな時代』―演劇編―

おかしな時代作者: 津野海太郎出版社/メーカー: 本の雑誌社発売日: 2008/10/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (27件) を見る昨年出た本ですが。読み終えたところ。面白かった。サブタイトルにあるとおり、演劇と出版に両足の…

「私的に公的」の東浩紀++

Lifeに東浩紀がゲスト出演したときに 東浩紀と言う人は、「私」を棄却させるものとして政治や思想を語るという仕方で、「私」的なものを政治とか公的なものから守ろう、守ろうとしている人なんじゃないか、ってことだ。 政治とか公的なものを、「私」とは無…

人文的教養と軽蔑+

書評を読めばダメな理由がわかる―二つの「知」と古臭い感性+8 - 白鳥のめがね で触れた はてなブックマーク - 404 Blog Not Found:人文科学者がダメな理由がわかる - 書評 - 日本を変える「知」 について。次のような言葉が出てくる。 自然科学者たちの、…

『伝わる・揺さぶる!文章を書く』のプロローグ

この本の読書会、淡々とすすめております。伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)作者: 山田ズーニー出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2001/11/01メディア: 新書購入: 49人 クリック: 391回この商品を含むブログ (226件) を見る『伝わる・揺さぶる!文章…

「私バカだから」 ―「コンテンツ」/「消費」/「唯物論が欠けている」―

短大で非常勤講師をしていた頃、受講生の中に気の合う子たちがいて、卒業してから、ときどき家に遊びに来ていた。彼女たちは自分たちの飲みたいものを提げて来る。私には安い、でもけっこう美味しいワインを持ってきてくれる。そうしてちゃんと電車があるう…