『反=日本語論』を読む#2 海とla mer

ところで、蓮實重彦の『反=日本語論』は、雑誌になりゆきで書いていた文章を一冊にまとめたものだってことで、雑多な話題をいったりきたりして、さまざまな角度からモザイクのように、日本語と日本語論とに対する批判的な考察が進められていく。反=日本語論…

nihonn go ga horobiru toki

yatto kaimasita yo. tyotto imamade yonde inakatta bubun wo yonde mita. konohitotte manyo-shyu tyannto yonnde nainn ja nai?tte omotta*1. *1:日本語ローマ字表記のことはちょっとまじめに考えてもいいかも知れないけど上のはただの悪ふざけですが

『反=日本語論』を読む#1 パスカルと関係代名詞

思い立って蓮實重彦先生の著作の読書メモを書き継いでみようかと思います。こないだ、「『反=日本語論』って美しい書物だな」と書きましたけど、序章のパスカルの話の部分、簡潔にして無駄の無い文章だなと思って、思わず美しいなと思ったのでした。そう思…

「恩着せがましい気持……」

水村美苗さんの話題の新刊が、僕の家の近くのコンビニに届いたみたいなんで、さっそく明日にでも買取りに行こうかと思っていますが、出版社のサイトにメッセージを寄せていたのね。 憂国の士たちは、自らのために動いているわけではない。世のため人のためと…

[雑]『晴れのち曇りときどき読書』を読み飛ばす

松浦寿輝の『晴れのち曇りときどき読書』を図書館でみかけて、借りてちらちら読んだ。松浦寿輝ってどこか「だらしない人」だという印象があって、そんなことを改めて思った。晴れのち曇りときどき読書作者: 松浦寿輝出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2006…

西郷信綱追悼

西郷信綱が亡くなった。古事記注釈も未読だけれど、『日本古代文学史』の初版以降3バージョンを比べ読みしてみたりしたこともあるので、感慨深い。 『万葉私記』を読むと、西郷信綱が古典の世界にのめりこんで行ったきっかけに、斉藤茂吉の『万葉秀歌』を読…

IKEA創業者の評伝

家具業界にかかわっているというわけでIKEA 超巨大小売業、成功の秘訣作者: リュディガーユングブルート,R¨udiger Jungbluth,瀬野文教出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2007/02/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 74回この商品を含むブログ …

『劇場の廊下で』

戸井田道三の『劇場の廊下で』という本を読んだ。時代の転換点を印付けられた本。身についた知識と経験の裏打ちのある雑多な語りによって、読者に思考を促す、散文の理想を体現したようなコラム集*1。劇場の廊下で (1981年)作者: 戸井田道三出版社/メーカー:…

家具職人のいた東京

クラシック家具―デザインと製作 (1975年)作者: 鳥海義之助出版社/メーカー: 理工学社発売日: 1975メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見るを読んでいたら、新橋あたりの「烏森から田村町の中通りの舗道に」赤レンガが敷かれていたあたりが、「東京の家…

『西洋家具ものがたり』

家具がらみの仕事に携わることになったので読んで見た。西洋家具ものがたり (らんぷの本)作者: 小泉和子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/02/16メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る日本の西洋家具受容史をたどるコラ…

『マンガは変わる』伊藤剛著

『テズカ・イズ・デッド』をやっと昨日読み終えました。議論が錯綜した本で、抽象化とか図式化とかの水準がしっちゃかめっちゃかで、苦労してフロンティアを開拓したんだなって感慨が残るけど後世に読むひとにとっちゃやっかいな本だろうね。すごく短いスパ…

『ミメーシス』読書メモ/悲劇喜劇

先日も触れましたが仕事してない期間にアウエルバッハの『ミメーシス』を読んでました。まだ読みきってないけど半分足らず読んで力尽きたところで図書館に返すのでちょっとメモ。 哲学史を勉強していれば、ヨーロッパ精神史がギリシャ的伝統とヘブライ的=キ…

『文字の母たち』

タイトルは活字を鋳造するための母型に由来する。パリのフランス国立印刷所と、東京の大日本印刷に取材して、活版印刷の歴史と伝統を伝える「職場」の様子を切り取った写真と、活字の歴史を概括しながら印刷所の印象を記したエッセイからなる一冊。図書館で…

『平凡な私が月300万稼ぐ7つの理由』

平凡な私が月300万円稼ぐ7つの理由作者: 右近勝吉出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2005/03メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (4件) を見るいかにも定番なビジネス書風のタイトルで、体裁もよくあるビジネス書で、便利屋…

『経産省の山田課長補佐 ただいま育休中』(ver.2)

経産省の山田課長補佐、ただいま育休中作者: 山田正人出版社/メーカー: 日本経済新聞社発売日: 2006/01メディア: 単行本 クリック: 67回この商品を含むブログ (25件) を見る妻も官僚で、双子の次にもうひとり子どもが。仕事を続けたい妻のために育休を取って…

『対話の教室』

対話の教室―あなたは今、どこにいますか?作者: 橋口譲二,星野博美出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2002/07/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る写真家の橋口譲二とその元アシスタントでノンフィクション作家でもある星野博美…

『起業人』成功する理由とはいえ

夏目房之介著『起業人』を読んだ。「成功するには理由がある!」なんてあおり文句が副題みたいについていて、某IT系の雑誌に載ったIT起業家へのインタビューをまとめたものとのこと。意外な出会いが呼ぶ意外なエピソード満載の一冊だった。起業人―成功するに…

『売れないのは誰のせい?』―家族と市場

広告の世界が大きく変化しつつある。山本直人著『売れないのは誰のせい?』は、戦後の家族のあり方の変化という巧みな話題の展開でわかりやすく広告の変化を語っていて面白かった。売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門 (新潮新書)作者: 山本直人出…

『デポー39ものがたり』

背表紙のデザインにつられて手に取った一冊。日本に「カントリースタイル」を紹介した第一人者で、その中心となったお店「デポー39」をプロデュースした天沼寿子さんの手記。大事にしたい物との出会いが大きなビジネスに育つまでの物語。この人は日本の風景…

西郷信綱の『古事記の世界』

西郷信綱の『古事記の世界』は、古事記に出てくる歌謡をダンスや演劇を伴ったものとして読み解いていくところがスリリングだ。それが、周辺部族を征服することによって成り立った王朝の儀礼に不可欠のものだったというところまで話が及ぶ。古事記の世界 (岩…

歳時記

俳句に興味があったのでそろそろ歳時記を買ってみようかと思っていたのだけどいまいちどれを買って良いか迷って手に取らないでいた(坪内さんの新書はなんか読み続けられなかったよな。なんか鼻につく)。吉祥寺に出かけたついでに立ち寄った書店で大泉書店…

三橋敏雄句集の『海』

三橋敏雄句集の『海』を読んだら「帆船練習船日本丸、海王丸ほかに事務長として歴乗」と著者紹介されてあってそうなんだと初めて知った。 海へ抛る夏の終わりの乾電池 なんかちょっと穂村弘っぽいとか思ったり。 海―三橋敏雄句集 (ふらんす堂文庫)作者: 三橋…

銀座……私、etc.

仕事で銀座に行った。話がすぐ終わったのでオフィスに帰る道すがら、ギャラリーに何件か立ち寄ってみた。銀座の画廊っていっても、ピンきりで、「現代美術」って感じから「洋画」って感じまでいろいろだけれども。大学院生時代に『etc.』を片手に表参道近辺…

吾妻ひでおと日記について

最近になって初めて『失踪日記』を買って読み、『うつうつひでお日記 (単行本コミックス)』と立て続けに吾妻ひでおの日記ものを読んでいた。「うつうつ」が出たのが去年の今頃だったな、市ヶ谷駅前の私鉄系本屋に平積みしていたのを思い出した。それで、便乗…

時代の変わり目だとか考える

『ユリイカ』の米澤穂信特集を買ってしまった。 なぜか渋谷のタワレコのインディーズコーナーでDVDとか平積みしている特集っぽい棚においてあったのだけど、どういうセレクションだったのかそのへんに疎い私にはわからなかった。うーん。日常の謎? 私が米澤…

日本語ができるイラク人

斉藤斎藤の短歌作品に、こういうのがあった。 アメリカのイラク攻撃に賛成です。こころのじゅんびが今、できました 短歌界(というか歌壇というか)では物議をかもしたらしく、『短歌ヴァーサス』誌で倫理的だか政治的だかの理由で認めがたいとかなんとか批…

スーパーマンを巡って

こないだ某FM局でKISSのインタビューを流していて、ライブで花火とか火花とか大量につかってオーディエンスはやけどに要注意だけと俺たちはスーパーマンだから大丈夫だと訳していた。なんかスーパーマンの映画をリメイクするらしいですね。考えてみるとスー…

ムーミンのサイズ(30cm)

『ムーミンのふたつの顔』を読んだ。ムーミンのふたつの顔作者: 冨原眞弓出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/07/26メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見るムーミンの作者であるフィンランド人のトーベ・ヤンソンがイギリスの…

将来の夢 reprise

今の会社に入ってしばらくは上司について歩いていたのだけど、二人で社用車という時に「君の将来の夢はなんなんだ」と聞かれた。二度三度聞かれた。いや、四回は聞かれた。それで、最初は、「夢破れて大学院を中退したってところですかね」とか答えた。それ…

クレーの20世紀

出張前に時間があったので、新幹線に乗り込む前に大丸ミュージアムのクレー展をちょっとのぞいてみた。あのくらいのスペースで、あのくらいの点数で、数十分、ちらっとクレーの絵を見られるというのは、なんだかとてもしあわせなことだ。クレーの絵を見てい…