「恩着せがましい気持……」

水村美苗さんの話題の新刊が、僕の家の近くのコンビニに届いたみたいなんで、さっそく明日にでも買取りに行こうかと思っていますが、出版社のサイトにメッセージを寄せていたのね。

憂国の士たちは、自らのために動いているわけではない。世のため人のためと思って、動いている。私もこの本は、我が国、我が同胞、そして我らが言葉、日本語のためと思って、書いたのである。
(略)
大学なんぞには行きたくなかった。まわりの女の子と同様、ふわふわした服を着たバレリーナ、女優さん、歌姫が羨ましかった。少し社会意識が目覚めると、感心に、アフリカの奥地の看護婦になる可能性も胸をよぎった。長じて女らしくなると、よこしまな夢も芽生えてきた。金持の妾になるという夢で、主(ぬし)の居ぬまは、日がな寝ころんで小説を読めるからである。しかも、小洒落た家で、綺麗な衣を身に纏って。
(略)
 悪夢から解放されるように「憂国の書」から解放され、元通りの謙虚な小市民にようやく戻りつつある今日このごろである。
筑摩書房 PR誌ちくま 2008年12月号 恩着せがましい気持…… 水村美苗

よし。私の読みの基本路線は間違ってない。このメッセージもまた演技だとしても。