歴史

若者組的なものの系譜 ―近代日本語に弔いを・番外編―

連休中、旅行しながらケータイでツイッターをちらちら見ていて妻に怒られた。 tenkyoinさんが若者組/青年団がらみでしていた議論がすこし気になっていたのだった。 若者組から青年団へ 青年団、というタグ付けが正確かどうかちょっとわからないけど、宮藤官…

『旅する巨人』/海の民の遺産

宮本常一と渋沢敬三という二人の巨人の「交差的評伝」とも言える佐野眞一著『旅する巨人』を読んで、いろいろと感銘を受け、今後の読書の課題を与えられたという感じがした。 このタイミングで僕が同書を読んだのは『神と資本と女性』という、宮田登と網野善…

清志郎が歌う、過去へジャンプする、未来へ

仲俣さんのブログを読んでいて、故忌野清志郎がイエス・キリストに深い敬意を寄せていたことを初めて知った。 この本のなかで繰り返し、「神」や「キリスト」が言及されているのが気になる。聖書をそのまま訳した長い文章も載っているし、そのほかにも「不思…

地元/地政学/ポストモダン以降

2008年は、一連のケータイ小説研究と、『ゼロ年代の想像力』と『日本語が亡びるとき』が出版される必然性があった一年であったということでしょう。これらの著作は同時に読まれなければならない。 というわけで今日は、昨年考えていたいくつかのテーマに響く…

近代日本語に弔いを(8)−国家と仮名遣い−

*1 歴史的仮名遣いがどのように成り立ち、普及したのかについて私が知っていることといえば次の本を読んだくらいのことだ。歴史的仮名遣い―その成立と特徴 (中公新書)作者: 築島裕出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1986/07メディア: 新書購入: 1人 クリッ…

家具職人のいた東京

クラシック家具―デザインと製作 (1975年)作者: 鳥海義之助出版社/メーカー: 理工学社発売日: 1975メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見るを読んでいたら、新橋あたりの「烏森から田村町の中通りの舗道に」赤レンガが敷かれていたあたりが、「東京の家…

『西洋家具ものがたり』

家具がらみの仕事に携わることになったので読んで見た。西洋家具ものがたり (らんぷの本)作者: 小泉和子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/02/16メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る日本の西洋家具受容史をたどるコラ…

『ミメーシス』読書メモ/悲劇喜劇

先日も触れましたが仕事してない期間にアウエルバッハの『ミメーシス』を読んでました。まだ読みきってないけど半分足らず読んで力尽きたところで図書館に返すのでちょっとメモ。 哲学史を勉強していれば、ヨーロッパ精神史がギリシャ的伝統とヘブライ的=キ…

フィレンツェ展

昨日、東京都美術館の「フィレンツェ 芸術都市の誕生」展を見てきた。なかなか良い企画展だった。展示は、都市/絵画/彫刻/金工/建築と居住文化/織物/医学/科学、と8つのセクションに分かれているのだけれど、それぞれのセクションの冒頭に、石に職業…

永遠の相の下で

スピノザ に『神学政治論 』という本がある。一見すると、キリスト教徒達の反ユダヤ主義に都合の良いような古代ユダヤ社会の反目の歴史になぞらえながら、同時代の新教内部の反目をあてこすり、批判してみせるスピノザ。社会を機械仕掛けのように分析しなが…