将来の夢 reprise

今の会社に入ってしばらくは上司について歩いていたのだけど、二人で社用車という時に「君の将来の夢はなんなんだ」と聞かれた。

二度三度聞かれた。いや、四回は聞かれた。

それで、最初は、「夢破れて大学院を中退したってところですかね」とか答えた。

それでも、二度三度聞かれるので「本を出すのが夢ですね」とか適当に答えたら「自費出版かぁ?」とか言われた。

30過ぎて将来の夢も無いよなあとか思いながら、きっとこの上司も50近くても将来の夢があるのだろうなあとか思ったりしていた。

それで小学校の6年生の時に、あとから進路指導の一環だったとわかったのだけど、将来の夢という題の作文を課題にだされて「政治家になって自衛隊をなくす」と書いたことを思い出した。

そのときはかなり軽はずみにそう書いた気がするけどまあ本心ではあったのだろう。とは言っても、そういうのは、漫画家になりたいとか、エンジニアになりたいとかという漠然とした憧れと同列なものだった。

あとから母親が教師との面談でその作文の話をされたといって話したので進路指導の一環だったとわかったのだけど、進路指導と知っていたらもっと別なことをかなり悩んだ末に書いただろうなあと思う。

なんとなく、将来の夢は政治家とか書いちゃうようなところは、今の心根の底にも変わらずにあるような気がして、そういう発想がおのずと出てくるのはなんかでもどこかうしろめたいことのような気がしてもいて、こうしてその思い出を書くのも気が引けるところがある。

母の親友に「党員」の人がいて「赤旗日曜版」をとっていて、それを熱心に読む小学生だった。

(2008年7月30日 mixiから転載)