『西洋家具ものがたり』
家具がらみの仕事に携わることになったので読んで見た。
- 作者: 小泉和子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/02/16
- メディア: 単行本
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日本の生活に「西洋文化」がどんな風に浸透していったのかよくわかる。そういう点では、外装は和風で内装はまるで「バロックと書院造のミックス」だったという明治宮殿(明治憲法発布にあわせて建設され、戦災で消失)のことは、読むまで全く知らなかったので興味深かった。写真が見られるのだけど、明治以降の大日本帝国っていうのがどんだけ奇妙な国だったかを体現するみたいな建物だったのだなあと思う。
あと、今迎賓館になっている赤坂離宮を「西洋の模倣の完成」として位置づけながら、戦後の一時期(昭和23年から36年まで)国会図書館として使われていて、「学生服や開襟シャツの「人民」が机に向かっていた」とその歴史の一面を紹介していたのも印象深い。
あと、バウハウスとかを受けて活動していた「形而工房」とか「木の芽舎」とか戦前日本のモダンデザイン史が紹介されていたのも面白かった。藤井厚二の「聴竹居」も紹介。そんな戦前のモダニズムの再評価にあわせて、同時代のキッチュな輸出家具の話も紹介していて、その流れでフランク・ロイド・ライトが帝国ホテルの設計をてがけることになったいきさつの話もちょっと出ていた。
タイトルだけ見たら素通りしてしまいそうけど、歴史書として読んでもいろいろ勉強になる本なのだった。もともと『週刊朝日百科 日本の歴史』での連載をまとめたものだってことで、むべなるかな。