『伝わる・揺さぶる!文章を書く』というタイトル。

山田ズーニーさんの第一作を読む読書会、2回を終えました。
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』を読む読書会 - 白鳥のめがね

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

初回にはタイトルのことを考えた。
やはり、このタイトル、この手の新書としては、珍しい、というかちょっと変。
ということで、読書会では、別タイトルがありえるとしたら、どんなタイトルが考えられるのか、といった話をしました。

「誰でも説得できる文章の書き方」とか、「仕事がうまくいく文章術」とか「読ませる文章を書くたった7つの秘訣」とか、そんな風なタイトルが「ありがち」かなあと思います。

あえて、そういうキャッチーなタイトルを退けている。
書き手の意図やこだわりがかなり感じられます。

私が思うに、このタイトルの一行が、本全体の要約になっているのだと思う。
この一行にたどり着くために、どれだけの言葉を捨てたのか、と思います。
たぶん「考える」という言葉を落としているのがとても大きいと思う。

(  )が(  )に 伝わる?
(  )が(  )を 揺さぶる?

ちょっと考えれば、( )の中に何がはいるのか、疑問を呼ぶタイトルです。
それを、いわばあえてブランクのままにしているのがこのタイトルのツボだと思う。
そして、伝わることと、揺さぶることが不可分だからこそ「伝わる・揺さぶる!」という表記がひとまとまりになるのだろう。

( )に入るものは何か、なぜ「・」でつながって「!」なのか。そういう問いを抱えながら本書を読めば、さらに理解が深まることでしょう。


それから、「文章術」とか「書き方」という言葉を使わず「文章を書く」と結んでいる。これは、「意志」の表現です。

まさしくこの本そのものが、伝え、揺さぶる、本として書かれている。著者が文章が目指すべきものと考えている、「意志の共振」とでも言えものが、タイトルにも結晶させられているようです。