exhibition+dance [景]

ダンサー・中村公美と撮影家・kamata motokoのコラボレーション展示
http://www.jotomo.com/wisp/kei/

土曜日の昼見に行く。
ギャラリーでのダンス公演というのは、ペッパーズギャラリーでのシリーズ企画とかに足を運んだこともあるけれど、やはり舞台でみるのとは違う。どこか、観客としての集中が許されないところがある。

今回の中村公美による上演も、ダンスそのものを見せるというよりは、展示会場の中を何度か移動しながら、その場所とダンスとの関わりを見せようとする面もあったようだ。モノクロの風景写真が壁にたくさん貼られているほか、中村がA4サイズほどの写真を数十枚手にして床にばら撒いて見せたりする場面もあった。

音楽は、歌謡曲だったり、なつかしのポップスだったりする幾つかの曲が小さなラジカセから流されていて、それも、カセットテープに編集されているものをそのまま流しっぱなしにしていた。テープには、ところどころに録音されているだけらしく、60分の上演時間の中、無音の状態の方が7割ほどだったのではないかと思う。

衣装は、東洋的な細かな文様がうっすら浮かぶ黒いレースのワンピースだった。

そんななかで、中村公美は、幾つかのモチーフを反復していた。左右の手の指をひとつひとつ順番に親指につけてはじいてみたり、人差し指を耳につき立ててみたり。

振付の造形性という面では面白さは感じなかったし、そもそも中村公美にとってダンスの魅力はその方向には無いのだろう。

私の印象に残ったのは、足の輪郭を確かめるように手で撫で回すような仕草を続けた場面だった。ただ、そのようにして立っている姿勢に、何か濃密な雰囲気が漂っている。体の輪郭が何かを放っているかのような。その存在感がゆっくりと見ている私の目の奥に積もってゆくかのような。そのような感覚もまた、ダンスをみる喜びのひとつだが、そういった気配のようなものが感じられないと、ダンサーは只動いているだけにしか見えない。

ともかく、ダンスの魅力の一つを確実に味わって帰ることができたのは収穫だった。