韓国・地球演劇研究所「ワーニャ伯父さん」

チェーホフの作品を、再現的なリアリズムで上演する作品だった。字幕がテンポはずしまくりで、寝不足で疲れていたので、二幕までみれば十分と思い、休憩中に帰ってしまった。というわけで、今回は勝手な感想を書くのみです。

韓国語のリズミカルな響きは心地よいものだったし、ロシア文化を韓国流に翻訳したものを見る経験は、翻訳劇という問題を考える上では、いろいろ示唆的だった。図式的に単純に言えば、儒教文化的な身体作法みたいなものが身振りの中に入ってきてしまうというような事柄が、日本の役者を見る場合よりもより明瞭に浮かび上がってくるようなところがある。

それでも、細やかなディテールの積み重ねが、全体としての音楽性、時間が淡々と流れてゆく感覚みたいなものにはつながっていかないのはもどかしい。舞台空間の把握がちょっとゆるいようにも思った。舞台セットのデザインとかも、いまいちピンとこない。なんといっても、独白の場面になるたびに、役者が舞台の中央前面に立って客席に語りかけるというのには辟易してしまった。そういうあまりにベタな劇的演出がリアリズム的演技の中に共存できるという発想自体が、ある種因習化してしまったリアリズムの枠の中に捕らわれたままであるように思われた。

役者さんたちの演技は、とても達者なものでした。
新劇っぽい感じ。