AMNブロガー勉強会、あるいは「スゴイと言ったら伝わらないこと」+

twitterでAMNの企画があると知ってすかさず応募したのだけど、参加した結論のひとつは、やっぱり今はtwitterが旬、ってことだった。あと、Webって結局、きっかけにすぎないんだな、と思った。それだけに、限りなく有意義にも、限りなく重たいものにも、なりえる、ということかな。

応募した動機は、失業中で暇はあるし、普段会わない種類の人に会ってみるのも面白いかな、というところで、初めは岡田有花さんの話が聞けるとは思ってなかった。行ってみたら、炎上経験について岡田有花さんが切込隊長にマイクを向けて、それに小飼弾がつっこむみたいな、生で見ておいしいイベントだった。

細かい話については、いろんな参加者の方が詳細にまとめているので割愛*1
http://agilemedia.jp/report/20090619/review_14_0.html
私自身も記者を仕事にしていたことがあるので、「書く技術」に限って言えば、それほど感銘を受けることは無かった。

他の方も言ってるけど、やっぱ小飼弾は目立っていた。小飼弾が一番後ろ(歌舞伎で言えば「大向う」?)からいろいろ野次を飛ばしていて、正直、必ずしも全てが上手いとは思わなかったのだけど、リアル小飼弾の声のかけ方とかをみて、どういう人か良くわかった。ブログエントリーもあの乗りで野次飛ばしてるみたいなものなんだな*2

「まず炎上の定義を」とか、はっきり言ってどーでも良い突っ込みだったけど、「炎上して土壌が豊かになるんですよ」というのは、弾言というより至言だと思った。いろんな人が感情的に巻き込まれることによって、様々な知識や経験もWebを介して再活性化され、それによって、Webを介して生きた知識が共有され、生み出されて行くための生きた基盤が整備されるというイメージなわけね。

書評を読めばダメな理由がわかる―二つの「知」と古臭い感性+8 - 白鳥のめがね で触れた小飼弾の「シノドス」への揚げ足取り的な批判も、半分はわざと騒いで見せているということだったわけね、と納得。まあ、その騒ぎ声を生かすも殺すも、知識を生み出せるチャンスを持っている人の振る舞い方次第だろう。

そんなわけで、二次会でも小飼弾の存在感は大きかったが、僕は遠巻きに見ているだけだった。でも、切込隊長が自分が居たテーブルに流れてきたので、にっくさんと隊長が昔話で盛り上がっている様子をちょっと小耳に挟んだりしてました。にっくさんと演劇の話ができたのが、今回一番楽しかったので、いろいろ顔を出してみるものだと思ったものです。
http://smallworld.west-tokyo.com/200906/amn.html#more
二次会呑み放題も含めて4000円の会費って、安い!

スゴイと言ったら伝わらないこと

話を戻して、勉強会のラストで、参加型イベントとして、受講者全員に「今回の勉強会について書く記事にタイトルをつけるとしたらどうするか」というお題が出されて、その場でネットにアクセスして投稿できるという企画があった。「スゴイと言ったら伝わらないこと」というのは、その場で僕が出したタイトルで、これは、上記のにっくさんが「ダンスとかフィジカルなことを書くのは難しいが、どうしたらよいか」という質問にたいして、岡田さんが応答した発言の中にあった言葉。
はてな近藤社長に会った時、他の人とは全然違う雰囲気があってすごい!と思い、それをどう記事にできるのか悩んだのだけど、結局、あったことをありのままに伝えることで、自分と同じ感覚の人には伝わるということに賭けた、「すごい」と言ってしまっては、逆にそのすごさが伝わらないこともある、と、岡田さんは言っていて、その言葉が一番印象深かったので、印象に正直に、タイトルにしてみた。まあ頭があまり働かなかったのでウケを狙いにいってる余裕がなかったというのもある。

で、その場では、司会の甲斐さんにもスルーされてしまい、会場もノーリアクション。
笑いを取ったりとか、会場を沸かせるタイトルもあって、リアルに場を沸かせられるひとが、ネット上でも話題をさらってるんだろうか、と思ったり・・・・気の利いたタイトルを作れる人は、やっぱ、基礎的な能力からして違うんだな、と思った次第。岡田有花さんも「テンプレって強いですね」と言ってたりした*3
あらかじめ寄せられていた「書くときに困っていること」に関する質疑応答コーナーでも、タイトルと書き出しに困る、というトピックがあった。
そのとき、自覚はなかったのだけど、トラックバックを送ったり、はてなホッテントリに載ったときなんかに、確かに、タイトルや書き出しの一行で、クリックするかどうか決まるだろうけど、自分がつけたタイトルや書き出しは弱いな、と思ったことが何度かあったのを後で思い出した。

まあ、工夫次第で何とかなる部分もあるのだろうけど、自分にはあまり向いてなさそうなので、別の場所で勝負すべきかな、とも思いました。たぶん、Webには瞬間風速みたいなところで勝負する場面もあれば、じわじわと後から読まれることを期待して、通じる人にだけピンポイントで通じるように書くという場面もあるのだと思う。

たとえば、↓のエントリーを最初アップしたときはノーリアクションでがっかりしたけど、後からコメントを寄せてくれる人がいた。
はてなブックマーク - 「私バカだから」 ―「コンテンツ」/「消費」/「唯物論が欠けている」― - 白鳥のめがね
もちろん、どの記事も通じる人が居るはずだと思って書くわけだけど、こういう風にひとりでも面白がってくれる人がいるとわかると、うれしいわけです。自分は、そんな風にこれからも書いていこうと思った。そんな話を二次会でもしました。

Twitter,Tumblrでもっとフラット化するとして

そういえば、kengoさんってその場に行くまで知らなかった私。自分がスルーしてきたWebのあれこれについて目を開かせてもらったという感じではあった。
そのkengoさんも、twitterをやらないとダメ、と一番熱かったのはtwitterの話で、それは今回の勉強会の企画趣旨からすると微妙な話なのでは、と思わなくも無かった。ブログって、もうメディアとしては旬じゃないよね、という印象が残ったというか・・・・。ブログにはブログの使い方があるだろうし、プロの記事と無償のブログ記事は別だろうが、では、ブログの可能性に何が残されているかっていうと、あまりはっきりしないという印象が残る。
切込隊長も次のようなことを書いていた。

私の思うところ、ブログはここ五年やってきましたが、新しい注目される書き手がポピュラーになることなく、dankogaiとかfinalventとか私も含め見知った顔が昔どおりにブログのネット側での知名度を獲得し続けてきたという反省があります。

 twitterは新しく有望なツールであり、今後も多くの人が身近な道具として使うだろうから、twitter発のスターというか、アルファツイッティストみたいなのが出てこないかなあと思っていたりもします。
遅刻したら、岡田有花女史の話は終わっていた: やまもといちろうBLOG(ブログ)

たぶん、Webだけの有名人ってもう需要がないし、余地が無いんだろう。twitterとかtumblrとかって、有名/無名を隔てるようなアイデンティティのあり方を無効にするところがあるようにも思う。人格システムの内側までフラットにしちゃう、みたいな。


ただ、今回の勉強会に行っても、私みたいな者が小飼弾と背中合わせに座ってたりして、年収とか資産の差はどのくらいだよ、とか思うと、この種のブロガーイベントって(応募多数で参加者の抽選もされたそうだけど)Webのフラットさがそのまま反映されるのね、とも思ったけど、有名/無名という区別も固定化されないみたいなフラットさって、これからますます促進されるのだろうと思う。

フラットであることは、つまり、格差が壁にはならないってことで、それだけ格差が如実にあらわになるわけだろうけど、格差にたじろいだりしなければ、格差を軽々と超えることもできる、というわけだ。結局、ますます中身で勝負ということになって行くとは思う。
その点は希望をもって良いと思う。良いものが良いと認められる可能性も、ちゃんと広がっているのだ。そういう意味で、ブログにしろなんにしろ、Webはきっかけを作るだけなのかな、という結論に。

それから、当日司会とかで一切を取り仕切っていた、甲斐さんって人は、AMNに移ったばかりということだけど、なんかいろいろ隠し玉を持っていそうなので、今後の活躍が楽しみだ。

(追記)Tumblrの綴り間違ってたので訂正。間違った綴りでいっぱいReblogされちゃったよ。とほほ。あと見出し追加。(6月24日)

*1:ちなみにこれを書いているのは23日。体調が悪かったので後回しにしていた。遅れて書くのでもっといろんな方の文章を読んで書くべきかなあとおもったが、そんな気力もないので、とりあえずの感想を書いておく

*2:前々から、漫画家の江川達也に似てるなとおもってたけど、ノリとか声の質感とか、やっぱり江川達也に似てるという印象だった。体の形とか体質と気質って、やっぱり通じるものなんだろうか

*3:↓に、件の投稿されたタイトルの一覧が掲載されてます。
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