ユニクロカレンダー雑感

海外からの注目も高いユニクロカレンダーですが、ちょっと感想を。
http://creativity-online.com/work/view?seed=1ae98bd7
ユニクロ、新感覚カレンダー「UNIQLO CALENDAR」を公開 - CNET Japan

実際の風景がミニチュアっぽく、Nゲージジオラマみたいに見える面白さ。その画像をクリックすると、モザイク状にユニクロのカラフルな商品画像のサムネイルになる、というプロモーション。ブログパーツにもなって、最新の世界各地の気象情報にも連動する、と。

ユニクロックでは、ダンサーの女性たちが「カレンダーガール」的に登場して、ユニクロ商品を着こなすモデルの役をしていたわけだけど、今回は、ユニクロ商品を着て街に出ることで、ユニクロと一緒に消費者が街を彩るのだ、というメッセージになっている。

その基本メッセージが、ユニクロに対するロイヤリティを確保する戦略の一環を巧みに支えているわけである。ユニクロックよりも、ユーザーを取り込む戦略は数段巧妙だと思う。都市を演出するという企業メッセージに消費者を登場人物としてとりこむとも言えるこのモデルは、カレンダーガールモデルよりも、ネット的である、というか。

ある意味、カレンダーというのも、時間のミニチュア模型であるといえる。
ユニクロを着て街に出るということは、規格化された世界を模型のように楽しむということだ。
消費者は、ジオラマのなかのフィギュアになることに喜びを見出す。いわば、「Post-Modern Times」。

Highly addictive. Uniqlo calendar ~ Pink Tentacle

というのは、そういうことだ。

将来的には、スケジュール管理ツールとの連動とか、イベント告知媒体として機能させることも視野に入れているかもしれない。パーソナライズ化する広告というモデルの基盤整備とでもいうか。

個人的には、浜松町のモノレールの画像が好み。モノレールの切り替えの場面とか、よく思いついたなと思う。派手じゃないけどちょっとレアな場面を切り取っていて、ロケハンと編集にはかなりの手間をかけていると思う。

そして、日本企業として世界に発信することにもかなり自覚的だと思う。日本の風景であって、都市を中心とした生活(リゾートも含めて)の現代的でグローバルなイメージにつながる情景が選ばれている。

各地の気象情報をリアルタイムで配信するというのも、ブログパーツとしては、発信者の場所と世界の受信者の隔たりが見えるように共感を演出する装置になっている。

全ての質が緻密に管理されていて、シンプルな企業メッセージを世界に拡散し、効果的に植えつけるという目的が、一種の無料コンテンツを提供することで、実現されているわけである。

「ユニクロ隠し」が若者に流行みたいな話題もあったから、そこからもう少しいろいろ考えられるのかもしれない。企業のメッセージや戦略を転用したり盗用したりすることから、何ができるのか。

若者に広がる「ユニ隠し」現象とは何だろう : J-CASTニュース