WWFes2009の7月11日2公演

http://bodyartslabo.net/festsub/programs/pf.html
岸井さんが参加するっていうので、出かけて、2公演見てきた。森下スタジオの2F。

クジ引きラボ

クジ引きでいろんなジャンルの作家を集めて急ごしらえで作品を上演してみようという実験的企画。
3チームに分かれている。入場に遅刻したので案内を聞き逃している。以下上演順に。

1)牛川紀政、河崎純、岸井大輔、中山奈美、山崎広太
照明が不規則に(時折)明滅する状況で、ひとりがダンスしていて、ベースとパーカッションの演奏がプロジェクターで壁に投影されている。客席が机を立てたブースみたいなところに二席ずつ作られてたりしたけどそれがどういう意図か途中から見たので知らない。
岸井さんが上演前からMCしていて、上演中は「僕の彼女は完ぺき主義で作品がちょっとでも気にいらないと発作をおこして倒れてしまい、劇場スタッフに迷惑をかけたことが何度かある。そんな彼女ともうやっていけないのでこれから電話をかけてわかれようとおもいます。」と携帯を取り出して通話を試みるがつながらず、「これはそうとうひどい状況かもしれない。改めて電話することにします。それで、次に付き合いたい人がいるので、仕事中で電話できないのでメールします」と言って携帯電話を操作していた。という感じの上演だった。
現実を虚構化してしまうような、虚構の枠組みを無作法に解体してしまうようなところが、ある種テロリズム的だなと思った。岸井さんの方法意識からして、こういうことをするのは単なる思い付きではないだろうけど、あるしゅやけっぱちとも思えるようなことをする「のっぴきならない(inevitable 不可避な)」状況とはどういうものだったんだろうな。

2)池島優、幸内未帆、柴田恵美、日比谷カタン、北條知子
ほとんど真っ暗な状況。ブラウン管のモニターが一台、奥の壁にプロジェクターで、その場をリアルタイムで撮っている(赤外線?)画像が流される。少しソラリゼーションとかの画像の加工がライブで施されていたりする。その状況で数人のダンサーが踊ったりしている。客席が会場に三列に並んでいて、その間をダンサーが行き来する。白いテープを持って、ラインを床に貼り付けたり、何かの位置を示す印をつけていったりする。男性ダンサーのあるしゅぬめりのあるような質感が印象に残った。

3)伊藤馨、河村美雪、羊屋白玉、ユン・ミョンフィ
最初、河村美雪、羊屋白玉、ユン・ミョンフィの三人が大量の洗濯物を囲んで座って、洗濯物をたたみながら世間話みたいな話をしている。それをもうひとり(伊藤馨?)がホワイトボードに三人の相関図として発言をQ&Aの関係としてメモしていく。ライブで互いの創作についての理念を語るみたいな意図があったみたいだ。
後半、河村が抜けて山崎広太さんをつかまえてインタビューをしている。初めはマイクを使っていたけど舞台奥にはけると何を話しているか聞こえない。残った3人がホワイトボードを囲んで、さきほど話していたことについて反省する会話をする。最後、その会話に河村・山崎の会話がマイクでひろわれて、かぶさってきて終わり。

河村さんと岸井さんは「PLAYAWAY」で一緒に上演してた。そのときしていることと、それぞれがやっていることはそんなに違わないのだけど、ここでは、あの時のような充実というのは無くて、時間芸術というのは、ちょっとした違いが大きく結果を分けることになるなあということを感じた次第。実験企画としては、いろいろ面白い観察があったのだろうと思う。

足立智美×手塚夏子×川口隆夫 パフォーマンス

三人が机を囲んで、足立さんの前にはPCと音響卓。三人それぞれが、ノートをじゅんぐりに回しながら、何か書いている。そのペンにピックアップがついていて、書く音が増幅されて会場に響く。そのうち、三人がそれぞれたわいもないことを話し始める。それぞれ時折席を離れたり、じゃんけんをしたり、手を腕相撲のように組んだり、する。やがてマイクで拾われた音声が、電子的に加工されたり繰り返されたりして、音楽になっていく。足立さんの自作楽器が使われて、ノイズ的な音響音楽が重ねられていく。手塚、川口の二人の動きも、座っていることが多いけれど、ポーズが派手になったり、すこし動きが出てくる。笑える話も漏れてきて、客席から笑いがあがることもあった。ラスト近くでは、ノートに書かれていることが一部の観客に示されたりもする。
時間を分節していくプロセスが、いくつかの水準におけるコミュニケーションの進展によって、展開していくことが、ある程度明示されている。実に足立さんらしい時間を久しぶりに味わった。