ドイツの演劇教育について(6/18)

http://groups.yahoo.co.jp/group/euterpe-ts/message/310
に書いたとおり
http://www.goethe.de/os/tok/KULTUR/2004/v0306j.htm#4
の企画をドイツ文化センターに見に行った。

主人公四人の青春群像がメインの映画であって、ドイツの演劇学校でどんな教育がなされているかを知ろうと思っても、あまり参考にはならない感じだった。
しかし、さまざまな戯曲の稽古風景は断片的に見ることができたけれども、演劇教師と学生との心理的な葛藤みたいなものに焦点がしぼられているのだった。

エンドロール*1を見ていたら、ビュヒナーとかイプセンとかの戯曲について書誌情報的なものがずらっと流されていた。ドイツの演劇ファンなら(日本の観客でも戯曲の知識が豊富ならば)、ああこれはあの名場面だ、とかという風に楽しめたわけなのだろう。

ともかく、メインストリームで伝統的な再現的演技を教える権威ある学校があって、ドイツ各地の劇場にプロの俳優を送り込んでいるその現場がどんな雰囲気なのかを知ることはできたのだった。

学校を出た後ギリシャ系の太った男優が、世界的なスターを夢見てNYの演劇事務所みたいなところに行く場面があったのだけど、その事務所にいる白人の太ったオバサンたちの鼻持ちならない感じに辟易する。ああいう人種がショービジネスの世界を形成しているのだと思うと正直うんざりする。

ひとつ面白かったのは、四人の若者それぞれが、入学試験を受ける前にそれぞれの家族の前で演技をしてみせる場面が映し出されていたところ。日本でだったら、親も子供も、何らかの照れとか恥ずかしさなしには演技をし、それを見るということはできないだろうと思う。それが、家庭の居間みたいなところで、大真面目に演技し、「すばらしい」とか言って誉めてたりするのだった(初めは教師と弟子の関係かと勘違いしたほどだ)。
こういう肉親間の関係性の違いというのは、演劇というものの成り立ちの違いにも根本的に関わっている事柄に違いないだろうと思う。

久しぶりに文章を集中して書いたなあ。集中して好きなことが書ける時間があるというのは有難いことであると思ったりしつつ、洗濯物をあわてて取り込んで今日の仕事に向かわなければならないのだった。

*1:この用語集で言葉を確かめたhttp://fringe.jp/terms/t026.html