米国のユネスコ復帰

ユネスコ協会が発行しているメルマガを読んだら、アメリカがユネスコに復帰したというニュースを伝えていた。

ユネスコの創設メンバー国であった米国が1984年、ユネスコの政治的偏向や放漫財政などを理由に脱退していたことは、昨年のこのメールマガジンでもお伝えしました。その米国がようやく本日をもって正式にユネスコに復帰をしました。」

とのこと。

この、「政治的偏向」というのが問題。国連は、いわゆる旧植民地の国々にとって自立に向けた政治的主張の場になっていたという経緯があるのだそうだ。最上繁樹さんの本などでその辺の勉強をして気になっていた所ではあるのだが。

そういえば「ユネスコのパリ本部で開かれている第32回通常総会では、初日の9月29日、ローラ・ブッシュ米大統領夫人が米国のユネスコ復帰にともなう演説を行った」というのはなにかの新聞に小さな記事になっていた気がするけど、そこではイラク占領の正当化を行ったという事の方が大きく取り上げられていて、ユネスコ復帰というのは大きなニュースにはなっていなかった。

「「平和を使命とするユネスコへの復帰を誇りに思う」と述べると同時に、学校教育に携わった経験があり、国連識字の10年ユネスコ名誉大使でもある同夫人は、そのスピーチの中で教育の重要性についても触れました。」

とのこと。

アナン事務総長のアメリカ批判もあったわけだけど、地味な所で、アメリカ政府に国連への歩み寄りの姿勢もあるということなのだろうか。だが、単独主義的なアメリカよりも、国連を巻き込んで世界戦略を立てるアメリカの方がこわいのかもしれない。

(初出「些末事研究」/2010年3月11日再掲)