渋谷友香理展@スタジオ・シェッラハル

http://www.lazur.jp/siellaharun.htm
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ほんの少しの光が、隙間からもれたり、木箱のオブジェのような手作りらしい照明器具からもれていて、ほとんど真っ暗な部屋の中に入るときには「目が慣れるまで時間かかりますよ」といわれる。部屋をうろうろすると、何か糸でぶらさがっているものがあるのに気がつく。だんだん瞳孔が暗闇に慣れてくると、うすぼんやりした部屋のなかに、いくつもの小さな人型がつるされているのがわかってくる。それは、厚紙か何かを同じ形に切り抜いたもので、なにかアイコンみたいに定形化された人の形で、腕や足は模式的に出っ張りや凹みとして示されているだけで、頭はとがった三角形でその頂点が紐で天井につながっているらしかった。歩くと、影が人形たちの見え方を変える。暖房の気流や、鑑賞者の動きに応じて、モビールのように、ぶらさがった人型がゆらゆらと向きを変えたりして、人の形が見えたり見えなかったりする。とてもシンプルなアイデアだけど、緻密に構成された空間は、とても見ごたえのあるもので、視覚の縁で作品の肌理に触れ合うどこかスムーズな感触が暗い透明な実質みたいなものとして胸に残った。