『橘館』で『ユリ 愛するについて』

『橘館』で見ました。
コミュニティシネマ『橘館』ブログ 私も作品紹介2『ユリ 愛するについて』

アート系のプライヴェートなドキュメンタリーとして、手法としては飛びぬけているというわけでもないかもしれないけれど、ゆるやかに時系列を追いながら、説明的になりすぎないように、様々なショットを重ねていく感じは、繰り返される一時的な出会いと別れの間に、決定的な出会いと別れが重ねあわされるような、記憶の重層する姿を造形しているみたいでもあり、監督自身が友人の人生の決定的な出来事をそばに立ち会うようにして記録することで、単なる記録でもなく、単なる作品でもない、ひとつのパフォーマンスとして、監督自身の関与を感じさせもして、カメラの手前に出演者から呼びかける声の向きが、観客の側にも響くようであって、そうしたプライベートな空間の記憶や身体性を刻み込んだ映像作品なので、こういう小さな映画館で、町の音も聞こえるような場所で見られたのは、逆に良かったかな、と思う。液晶プロジェクターはお世辞にも良い画質ではなかったし、スクリーンも白い布を張った手作りなもので、学園祭の上映会を思い出す雰囲気ではあったけど、それが雰囲気としては、ぴったりと合うものだったと思って、帰った。