『東京の条件』act4+

岸井大輔さんが主宰するPLAYWORKSの企画『東京の条件』のact4に参加した。
公式の案内文はこちら。
秋の新作告知 PLAYWORKS#1 『東京の条件』 作・演出 岸井大輔 | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ

ポタライブについては、今まで何度も書いてきたけども、
岸井さんインタビュー/ブレイクしないポタライブ - 白鳥のめがね
『東京の条件』はpotaliveの先にある活動のひとつと位置付けることもできると思う。ポタライブを知っている人には、ポタライブの取材散歩に同行して、作品ができる一歩手前まで立ち会うような試みといえば、イメージが膨らむかもしれない。キャストとスタッフと参加する観客が、話しながらどこに行くかを決めて、その場から感じたことを共有したり、しなかったりしながら、キャストが観客の前に立ち、観客がキャストの前に立つ。

さて、当日朝、岸井さんとスタッフの女性、チョウソンハさんと私の4人で朝集合して、「東京の好きな場所、嫌いな場所」のことなどを小一時間話す。チョウさんが朝鮮学校を出て中高は私立一貫校に進んだことなどを伺い、その流れで、差別と国家のからみみたいな話も少しする。チョウさんが大学の後輩であることを初めて知った。
しばらくして、私が挙げた嫌いな「建売住宅」と好きな「道路工事の更地」を見て歩くことに。

チョウソンハさんのブログ。
web dorama de songha

しばらく、旧保谷市がかつて村だった名残や農地を潰してできた建売住宅などを見ながら、調布保谷線の工事予定地に向かう。自分の家の近所を歩いていたときに見つけた、これから道路工事がされる更地の光景がとても面白くて、何度か散歩していた所を、岸井さんやチョウさんにも見てもらいたいと思ったのだ。

http://www.city.nishitokyo.lg.jp/topics/toshisei/toshikei/tyohuhoyasen2/

工事予定地にある近所のスーパーが閉店したばかりの様子を見て、そこを基点に、延々、道路を新しく敷くために家が取り壊された跡、仮の歩道が作られているところを歩いていく。1時間半ばかり歩いて道端の蕎麦屋で休憩。

西東京市のこもれびホールの近くに古い垣根の道が残っているあたりを抜けて、調布保谷線の「実物モデル」を見てもらう。

道路沿いの家の人が、お盆のお迎えをしている様子をみつけた。


そういう農村の生活を四車線の広い道が突き抜けていく。道路計画に携わる人にはどんな苦労があるのか、とか、道路計画を立てたることに快楽があるのかな、とか話ながら歩く。

http://www.city.nishitokyo.lg.jp/topics/toshisei/toshikei/tyohuhoyasen3/index.html

保谷中学校の脇を抜けて、木が2本、工事予定地の中に残されているところを抜けて新青梅街道へ。



新青梅街道沿いのコンビニが、工事にあわせて(?)閉店したばかりだった。

東伏見稲荷周辺の再開発の様子を見る。そこから先は、すでに道路が開通している区間。そのあたりで、岸井さんが、「この道は、ポタライブ『源』の場所の続きじゃないか」と言った。
ワンダーランド wonderland – 小劇場レビューマガジン
初めは、「こうなったら『源』の場所まで歩くぞ!」と岸井さんは言っていたけど、結局そこまでは歩かなかった。途中、原っぱ広場がある武蔵野市の中央公園を抜けて、緑町あたりのフィンランドという喫茶店で休憩。もう4時になっていた。
武蔵野中央公園|公園へ行こう!

武蔵野市にコミュニティーバスを作った市長の話を岸井さんから聞いたり、車から見る町の様子と歩いて見えてくる感じの違いといった話をしていて、ムーバスに乗って武蔵野市を見よう、という流れになった。
武蔵野市役所の前を通って、総合運動場を見たり、その近くに住んでいて、庭木を飛行機の形にしていた戦時中の飛行機の技師だった人の話などを聞きながら、けやき通りあたりのバス停からムーバスに乗って、吉祥寺駅を経由して、練馬区との境あたりまで出た。武蔵野市の中心は、駅前じゃなくて、武蔵野の拡がりを感じさせる場所なんだな、と思う。なんとかいうお寺での集まりが、武蔵野市議会へとつながっていくのだとか岸井さんからうかがう。

屋敷林や垣根が続く、農村の名残の風景。ポタライブで使おうかとおもったけど採用しなかった場所をあれこれ見せてもらうといった感じの散歩になった。


千川上水に腕時計が落ちていた。チョウさんが水に手を伸ばして腕時計を拾っていたりした。

http://www.geocities.jp/sirakigi/senkawa21.html

最後は、成蹊大の脇の生垣を抜けて、けやきコミュニティーセンターへ。住民運動がコミュニティセンターの設置につながったいきさつや、地域で活用されているといった話を岸井さんからうかがう。

http://www1.parkcity.ne.jp/keyaki-c/

コミュニティーセンターの敷地にある林のような場所で、しばらく遊具で遊んでみたりした。遊具の下の地面に子どもの落書きがある。そこに絵を書き足し始めるチョウソンハさん。

いつのまにか、今日一日歩いてきたことの地図を描いていくパフォーマンスになっていた。今日一日、互いにいろいろと話したり、見たりして、共有したものや、しなかったものが、チョウさんのなかで膨らんで、パフォーマンスへと堰を切る瞬間に立ち会えたのが、とても新鮮な、素晴らしい経験だった。

ムーバス吉祥寺駅へ。ちょうど夕焼けが武蔵野の上に広がっているのが、百貨店のビルの隙間から遠くに見えた。

ダンスの公演よりも、リハーサルのときの動きの方が時に新鮮だったりする感じがすることがあるけれど、作品の手前というか、作り手と観客の間の場所を互いに潜り抜けたような一日だったような気がしている。個人的には、ポタライブ第一作『源』の先に続いていた道路の傍に引っ越してきたことに、いろいろと因縁を感じて、感慨深かった。

調布保谷線と玉川上水 | 武蔵境ブログ - 楽天ブログ
調布保谷線と堀合遊歩道と玉川上水 | 武蔵境ブログ - 楽天ブログ
堀合遊歩道と玉川上水 | 武蔵境ブログ - 楽天ブログ

東京アートポイント計画に参加する企画として、来年の3月まで、Act100まで継続する、ということ。
企画の案内や記録は公式ブログで公表していくそうだ。『東京の条件』act編 by 岸井大輔


(追記)ちょっと書き足した(8月1日)。
(追記2)公式ブログにリンク(8月12日)

☆関連リンク

○東京アートポイント計画
アーツカウンシル東京
はてなブックマーク - shimoyamaのブックマーク

○調布保谷
調布保谷線と連雀通りの交差点 | 武蔵境ブログ - 楽天ブログ
三鷹市 |三鷹都市計画道路3・2・6号 調布保谷線
調布保谷線(武蔵境通り)の一部が片側2車線になった
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/02/20j2q100.htm

○岸井さんブログの『東京の条件』関連記事一覧(ナンバーの重複は岸井さんのミスのようです)
『東京の条件』というタイトルはアレントの『人間の条件』をふまえたもので、act編のほかにWork編も展開する構想なのだとか。企画のコンセプト自体が、アレントのactやworkという概念をふまえたものになっているそうだ。

「東京の条件」のためのメモ1 | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ
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「東京の条件」のために | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ
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現れの場と演劇の形式化(東京の条件のためのアイディア1) | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ
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「東京の条件」のためのメモ13 | PLAYWORKS岸井大輔ブログ - 楽天ブログ