群々[6:0/作品集]雑感

ダンスがみたい!11参加公演見に行く(マチネ)。
d-倉庫ブログ ダンスがみたい!11もうすぐ開催!
ダンスが見たい! : 本日の群々

松本梓さんの自作による繊細なソロダンスは、なかなか良いものでした。今後が楽しみです。
岩渕貞太さんには可能性を感じるので、今後の動向には注目したい。
関かおりさんの作品の立ち上げ方はとても丁寧なものがあるように思う。暗転を繰り返す中でパフォーマーの音が身体的な持続に注意を促すという構成は問題提起として面白い。覚えておきたい名前だ。

そういった魅力を認めた上で、しかし、公演について細かく描写したいという意欲が沸かない。
あえて、いまいち乗り気になれなかったゆえんを書いておく。

最近劇場関連で会う人に、いまはダンスより演劇が面白いですねーと言ってきた私ですが、この人たちのダンス作品を見ても、同じことを思った。

いや、まじめに丁寧に作っているんですよ、みなさん。
アサヒアートスクエアのレジデンスアーティストってことで、一定の評価もされている。
http://arts-npo.org/aas/aas-program.htm

でも、こういうのは見たことがある、という範囲を出るものが何もないと、わくわくしない。劇場芸術のお約束の中にすっぽりはまっている。それでいて、アフタートークを聞いていると、ダンスというジャンルに特にこだわりは無いと言う人が何人かいる。「絵もダンスだと思う」とかアフタートークで参加者の二人が同意していた。

ジャンルの横断とか、ジャンルの垣根が無くなるとか、そういう発想自体が、すでにカタカナ化された「アート」の慣習(convention)とか制度の中でなされている話でしかないということをもっと自覚してほしいと思う。
今回はオムニバス的に6作品が並んでいたが「温度」というキーワードで作品作りをしたとのこと。でも、全然それで作品を作る必然性が感じられなかった。何でもできるというのではない縛りをつけたかったということだけど、任意の出発点は縛りでも何でもないだろう。そんな風にしか見えなかった。

芸術の創作において、モチベーションに嘘があれば、絶対、出てくるものはそれなりのものでしかないと思う。
今回の公演に関しては、あれもこれもできますという優等生的回答以上のものは感じられなかった。相対的には良いものだと言えるだろうけど、生きていくうえでどうしても見ておきたい何かという評価はできない。
まあ、そういう仕方でやりたいことができていて、それを見たい人が居るというなら、私が文句をいう筋合いはなにもないわけですけどね。
でも、批判的な見方が作り手に足りないとしたら、それは批評家サイドの責任かもしれないが。

富士山アネットの長谷川寧さんは、団体名はよく目にしていて、今度、野田秀樹が指揮する東京芸術劇場での公演も決まっているそうで、注目されているんだね。「テアタータンツ」とか言ってタンツテアター(ダンスシアターという意味のドイツ語)をひっくりかえした馬鹿げたキャッチフレーズで何か新しいことができていると思い込めるのもひとつの才能なのかもしれないが、私は好きになれないタイプだ。