そろそろ画廊忌

画廊男こと佐藤洋一さんがこの世をさってそろそろ一年になる。今日、得意先の百貨店の地下食品売り場をあるいていて、そういえば、「Gallery≠Gallery」の何かのパーティーにデパチカで餃子かなにかかっておみやげにしたことがあったな、と思い出した。

佐藤洋一さんが開いていたいろいろなギャラリーだとか、イベントだとかに足しげく出入りしていたころがあり、そのころは、どこかのんびりとして、おしゃれさとかお金とかとはちょっと縁のなさそうな感じの、佐藤さんのまわりに集うひとのマイナーアート界みたいな雰囲気がぼくにはとても馴染む感じだった。

最後に佐藤洋一さんに会ったのは、佐藤さんがこの世を去る二ヶ月ばかり前に画廊を訪ねたときだったと思う。画廊の事務所の窓から運河っぽい東京の川の景色がみえて、ゆりかもめかなにかが舞っている遠景がまるでスローモーションのようで、ピアソラのCDか何かかかっていて、曇り空で、まるでヨーロッパの映画みたいだと思った。画廊の経営はどうですか?と質問して、ちょっと困ったような顔をして、「うーん、ちょっと先が無いね。」みたいなことを言っていた。

なんとなく、佐藤さんは戦死したみたいなイメージを一瞬抱いてしまうし、力尽きたという印象をいだいてしまったりもしたけど、佐藤さんが生きていくうえでの事情を詳しく聞いたこともないし、詮索するつもりもないけど、深刻ぶって考えたくは無いな、なんだか。

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これからも、毎年、この季節になると、佐藤洋一さんのことを思い出すのだと思う。佐藤さんのへらへらにやけた感じと、佐藤さんのちょっとまだるっこしい話し方と、佐藤さんがかいまみせてくれた自由のことを思い出すのだと思う。

個人的には、何日だかよく知らないその日を、画廊忌と呼びたい。