引越し(リアリティ)

引越した。帰り道がかわった。いままで通勤していたルートが帰り道だったりすると感覚が狂うと妻が言う。一瞬定住民でなくなると言うことか引越しとは。引越した日古い録画ビデオが出てきて『千と千尋の神隠し』を見た。引越しの日の話だったんだなとあらためて思う。見当識がはぐれて現実の裂け目が見える。そういえば引越して荷物がなくなった部屋を一日だけ画廊にしようかとか夢想したことを思い出した。現実には引越し済ませるのがやっとでそれどころじゃなかった。画廊男さんが亡くなったことを思いつつ退去する部屋の掃除をした。現実の裂け目を生きることはさぞ厳しかろう。

(2008年7月30日 mixiから転載)