聞く

近頃電話で営業する仕事をしていた。電話で営業するには耳が良くないといけないと人は言う。いろんなひとのいろんな声を聞いた。心温まることもなくはなかった。小林恭二の『電話男』という小説にリアリティが無いのは、テレクラとかテレマとかでおきていたことを陳腐な仕掛けに託して描こうとしているところだろうとか思ったりした。

「耳は注意力に富む感覚器官であって、しかも眼よりもつつましく、受身で、直接的で、うるさい差別をしない」(『土星の徴の下に』富山太佳夫訳、219頁)


土星の徴しの下に

土星の徴しの下に

(2008年7月30日 mixiから転載)