春のタタラ祭り 舞踏4人展

 井上みちるさんとは妙な縁があって、彼女が舞踏家としてデビューして舞踏の世界に独特な地位を占めにいたるまえから知り合いだった。彼女の弟がやっているバンドのボーカルが同じ大学の寮に住んでいて、そのバンドのライブを見に行って踊り狂っていたりしたら知り合ったのだった。

 井上みちるさんからご案内いただいたので、見に行ったのだけど、井上さんがでていた金曜の回は仕事で行けなかった。

 というわけで、田山明子さんのダンスと、田辺知美さんのダンスを、この土曜日仕事帰りに見た。

 田山さんのダンスは、前半後ろを向いたままの踊りなのだった。黒いワンピースで、ゆったりとした時間の中に、身体の明確な輪郭が描かれていくようで、ひとつひとつのフォルムがとても確かなものと見えてくる。最後にバレエ(ダンスクラシック)の第5ポジションみたいなポーズをしてたのであとから本人に聞いてみたら、バレエ少女だったとのこと。それが抜けないのよねーとかおっしゃっていた。まあ、舞踏の人としては、そういう型が出てしまうことはあまり良いこととは思えないのかもしれないけれど、私はクリアな輪郭の造形ができるダンサーが好きだ。また見てみたいと思う。

 田辺さんのダンスは、ずっと寝転んだ姿勢で展開するもので、ずっと寝ていてしかも動きに均質な緊張が保たれるというのはチャレンジングだと思った。だらしないしぐさのようでいて、なにげない動きのそれぞれが振付けられたもののような明確な構成を感じさせるものだった。

 自分が知らないだけで、良いダンサーはいろんなところにいるのだということを改めて認識する一夜だった。