可能性について

母校の入試(大学)の試験監督をしたことがある(アルバイトで)。

試験時間が終わりに近づいていく。教室内を巡回しながら、いまこの瞬間に、一つ回答を直したり直さなかったりすることで、人生が分かれるんだなあと思ったりする。

どの大学に入るか、入らないかっていうことは、それなりの仕方で人生を大きく左右することでしょう?

教室一杯につまった百人を超える受験生の人生の可能性が、様々に分岐していた可能性の錯綜が、試験時間の終了にあわせて、一気に収束して、現実が確定する。

ライプニッツの神があらゆる可能世界を演算して、最善の現実世界を選ぶみたいに。

まあ、試験というのはその典型というか、実際には常に人生の岐路というのは絶えず開かれては収束していて、様々な可能性のうちの一つが常に選ばれている。

人生の岐路がどうなっていたのか、ある時点でもう決まっているのだけれど、私にはその可能性の収束がどうなったのか見えないということもある。

(2008年7月30日 mixiから転載)