ピエール・ダルド+イマージュオペラ>>ロマネスク<<

ダンスがみたい7参加作品。「ザンビネッラ ZAMBINERRA」8/11 15:30からの回を見る。

国際交流とはいってもピエール・ダルドさんは東京在住らしい。あと、どこにでも顔を出すなあという感じのJOUさんがゲスト。

JOUと、ピエール・ダルドのデュオが、零落して狂ってしまった貴族二人が荒れ野で踊っているのか、貴族であるという妄想に取り付かれた二人が踊っているのか、そんな風なイメージをかもし出す風な、たおやかに踊る宮廷舞踊風の一幕があった。バロックダンスというのかな。

あと、なんだっけ、ラブソングにあわせてパフォーマーみんなで歌詞にあわせた手話的な振りを繰り返して(ピナ・バウシュっぽい(?)と思った)、そこでJOUがマイクでコンサートのラストみたいなMCをするというラストシーンがいつものイマージュオペラではありえない感じで、脇川さんが言うには、JOUのキャラクターを生かしたコラボレーションシーンだとか。

脇川海里のソロはなかなか見ごたえがあるし、美学的に洗練されてヨーロッパでも通用しそうな簡素なセノグラフィーとうまく溶け合っていて良かった。ヨーロッパ的舞台美学の枠に乗っかっていろいろ内側から侵食するようなことをやっていってもらえばいいんじゃないかなあと改めて思う。

女性たちの群舞とかについては、今年の春にやった作品よりも密度が落ちたものじゃないかなあというのが素直な感想。あとは、だいたい前にも見たことのある風なイマージュオペラの作風で(いろいろと板を使っていた)、特筆するべきことがあるとも思えなかった。

コラボレーションというのが、なにか新しい創造に向かうのは難しいことで、今回の公演もそれぞれの持ち味を小出しにしつつ妥協して舞台にまとめたという感じではあった*1

*1:10年ばかり昔、まだコラボレーションというカタカナの言葉が外来語としてやってきて、日本の芸術の分野で使われはじめたばかりのころ、ダンサーの人とか舞台関係の人が国立にあった画廊のようなスペースで話しているのに立ち会ったときのことだけど、韓国人作家と「コラボレーション」しようと誘ったら、説明を求められて、そんなことはできないと断られたという話を聞いたことがある。たしか、作家として責任が負いきれないからと断られたという風なことではなかったかと思う。そのときは、「韓国の人はまだまだ柔軟な発想ができないらしい」みたいな風に話が進んでいるのを私も聞き流したのだけど、安易にコラボレーションしようなんてことは断るというのが作家として正しい態度かもしれないと思うこのごろ、このエピソードを度々思い出す。いや、もちろん、どんな機会であっても貪欲に発表の場を掴んでいくのが必要な場合もあるだろうけど、それも方便に過ぎないはずだ。