ダンスがみたい7の小林嵯峨

ゲスト出演ということで小林嵯峨さんのソロ小品。これがまた素晴らしく良いソロ作品だった。

琺瑯の洗面器にろうそくを浮かべて、それを手にゆっくりと入場、床に据えて、その明かりの中でゆったりと舞うところから作品は始まる、だんだん照明が入ってきて、薄明かりのなかでソロが展開していく。薄いシャツみたいな上着に、ズボンみたいな簡素な衣装で、メイクもなし。そこで、ゆったりとしたこまかな動きのなかに緊張がためこまれていって、最後には激しい運動に到る。なんだろう、老いへの傾斜といえるようなものがここまではっきり小林嵯峨さんの公演のなかにあらわになったところを見たのは初めてだった気がする。身体が衰えていくところに初めてあらわれてくる、軽みのようなものが漂い始めている。大野一雄が95年ころから2000年にかけて、更に変貌し軽くなっていった、その極みが、仄見えるような。身体が乾いて乾いていくその変容のなかに運動する潤い、とでも言うか。ともかく、小林さんがさらに老いていく、その傾斜に身をゆだねる姿を更に追い続けてみたいと思った。