どうせ穴だらけの顔

○月×日
となりのサラリーマンの読んでいる新聞が、聖教新聞かな、と思ったら、日経だった。
このごろの日本では、数年に一度、そんな日が来る。

○月×日
大野一雄のアトリエ公演を見る。もう一人で立って踊ることは無いのだろう。
昨年の舞台を享受できた幸運を思う。しかし、この衰弱は貴重なものだ。同じ世界に生きられる幸せ。

○月×日
友達を見れば、その人がわかる。というのはやっぱり正しいよなぁ。
あんないい人なのに。僕にとってはいいひとではない。

○月×日
自分が仕掛けた寮内の会議が軌道に載り始めた。これで改革が進めばいいが。
もう、けしかけなくても事がすすむだろう。やれやれ。

○月×日
アメリカ行きについて、ニブロールの人とメールのやりとり。
今年は自分で宿とらなくっちゃ。

○月×日
渋谷の書店でマンガの棚を見ていたら、おじさんに話しかけられた。
古屋兎丸の小父だと言っていた。よしもとよしともの「コレクターズアイテム」を購入。

○月×日
ドゥルーズMLでやってるアンチオイディプス読書会のため、本を借りたり論文のコピーをしたり。
大学でダメになってゆく研究者もいると、身につまされる。文章がどんどん疲弊していくのだ。哀れ。

○月×日
佐倉市の美術館で知り合いとばったり会う。さそわれてメタルミュージアムのオープニングパフォーマンスを見に出掛けた。
南米の日系人の作家の作品。日系の人たちが集まっていた。地元の人と話したりする。
千葉の奥に遅くまでいて帰りが遅れた。

○月×日
印刷所に行ったり、九州の大学の先生に電話したり。
トラブルが一つ一つクリアされるのは、気分良い。

○月×日
よその大学に出掛けていってベルクソンで博士号取った先生のゼミに出る。話していて論文のテーマがみつかる。
しかし、堅実な研究者に相手をしてもらえない代物になるかもしれない。それも良いだろう。

○月×日
ローザスにがっかり。
自分の感受性が硬直しているのかと心配になり、足立智美氏の論旨と福島博彦氏の論旨をいったりきたり、いろいろ考える。

○月×日
電話が通じない。心配だ。拒否されてるのかという妄想を抱く。


○月×日
基本的に躁鬱気質らしいのだが、意気阻喪させられることが重なって、何か書こうという気分ではなかった頃も、どうやら過ぎた。

○月×日
ローザスの「ドラミング」に自分なりの納得をする。良くない作品だという結論は変わらない。
プレルジョカージュにがっかり。

○月×日
小林秀雄MLでの議論に反論書いてたら、3時間かかった。


(初出「虹の錯視 第二」/2010年3月15日改稿の上再掲)