岸井さんインタビュー/ブレイクしないポタライブ

ポタライブを主宰していた岸井さんのインタビュー、Webに全文掲載されて読みやすくなりました。
http://www.wonderlands.jp/interview/008kishii/

芥川賞をとった川上未映子さんがポタライブを見た感想を書いているのがこちら。
http://www.mieko.jp/blog/2006/12/post_5e5b.html
さわりの部分を上から引用してみる。

この年になって、誰かのあとを無根拠に耳をかたむけ、小さな約束だけで誰かについて歩いていく、という状況にけっこう感動したし動揺した。(中略)あのとき発光した幾つもの偶然性が今でも時おりきらきらする。私はあの不思議な体験が終わったことのように思えなくなる夜がときどきある。

偶然性ということについては、岸井さんインタビューでも話題になっていたところだったけど、それを作品享受のポイントに据えて語っている川上さんはさすがだな。

あと、ゲームクリエイター米光一成さんがポタライブの作品を発表していたりする。
http://blog.lv99.com/?search=%A5%DD%A5%BF%A5%E9%A5%A4%A5%D6

などなど、と見ていくと、ポタライブはもう世間的にブレイクできるだけのカードをそろえているみたいな感じもあるのだけど、そうはならない。

川上さんが「流通できないもの」として語ろうとしているところにその理由は尽きているともいえるかもしれない。まあでも、岸井さんの中に、ブレイクさせたくはないという気持ちがあるからではないかとも思う*1。しっかりと根付かせたい、そのための十分な時間を与えたい、というような。

スローって言葉がはやってますけど、ブレイクっていうのも、ある意味、利益の最大化みたいなファースト側の言葉でもある。ブレイクの対義語になるような言葉って何かな。

*1:岸井さん自身が明言しておりました。「本質的に正しいと信じられることは、消えずに適切な速度で広がります。ひろめず、続けるべし。」 http://plaza.rakuten.co.jp/kishii/diary/200409210000/