HOTSKY presents 熱空公演「海鬼灯-うみほおずき- 」

見てきました。

父親役の役者さんが出てきたところで安心する。やっぱ大人な役者が出る舞台はそれだけで安心して見られます。主演2人のクライマックスシーンはなかなかなものだった。娘と父親がいさかっているところで母親が仕事しながらそれを見守っている演技とか豊かに語りかける場面もできていて演出に細やかな配慮もある。それだけに、いろいろ注文つけられる部分が残るのはもったいないな、と。

娘役は、結局劇の進行にとっては状況説明役としてしか機能していなくて(主役の2人にはこんな娘もいる、ということを示しているだけで娘がいることが劇的状況を左右しないのですね)、演技が上滑りしてしまうのも無理は無いなあ、などという感想が残りました。3人の対話劇とかに落とし込んだほうがよっぽどいいものができそう(劇の背景となる物語説明にいちいち役者を割り振る必要はないわけですよ、劇団の都合とかのぞけば)。

しかし、物語とテーマをどう劇に立ち上げるかってところでもっと悩んだ方が良いはずなのに、安易な手法だけが先にたってそれで処理してすませてしまったらせっかく創作になりそうなものが効果を狙った処理で終わってしまうってことに気がつかないですんでしまうというのは、これは教養や研究が欠けているってことなんだろうかとか思う(と偉そうに書いてしまって申し訳ないですが)。

多分、テーマとしては、芸術と人生とのからみで問題を提示しながら、偽の解決をおいていると思うので、劇としては完結していないとおもいます(答えがないということをきちんと示せたほうがましだ)。

映像に大木裕之でコンクリの壁にながしちゃうって贅沢だなあ。

(2007年7月30日 mixiから転載)