おとなりさん

おとなり日記ということで見てみたら、俳句の英訳の話があった。http://d.hatena.ne.jp/sosna/20040617#p4
たしかに、韻もちゃんと踏んでいて名訳な雰囲気。

JRの東北キャンペーン中吊り広告に載っている芭蕉の英訳には、今ひとつぴんと来ないものを感じていたりする今日この頃。そんなことが気になるのは、『悲劇の死』で(原著もちらちら見ながら邦訳を読んでいるのだけど)スタイナーが韻律も整えながら詩を訳すという超絶翻訳を実践しているのに驚嘆したから。原著では、英語以外の戯曲からの引用は原文をそのまま示して、注でスタイナーの訳が掲載されており、巻頭には、訳はスタイナー自身のものだという注意書きがある。だが、これは、邦訳では一切カットされていてわからないようになっている。邦訳は忠実な訳でありがたいのだけど、スタイナー自身の翻訳実践を便宜上黙殺している点において「抄訳」に留まってしまっているといっても過言ではないかもしれない。ていうか、そもそも翻訳不能なのだけど、その点をカットしていることについて明示的な言及が無いのはやっぱり問題だと思う(言い訳はちゃんと書いてあるけどねー)。