スポーツ中継のスローモーション

バイト中の休み時間にバレーボールの中継を見ていた(自分ひとりならスポーツ中継なんてほとんど見ない)。
なんだか、昔に比べてライブ中継の映像的演出が非常に洗練されているように思うのだけど気のせいだろうか。ボールを追うカメラワークとか、単に球の動きを追う以上に、ボールの移動のスピード感を演出するように激しくカメラを横に振ったりしている。その動きは、ボールの動きを追いかけているというよりも、ボールが動き終わった後にカメラの動きが球の衝撃を連想させるように独特のアクセントをおくという感じだ。プレーが決まるまでボールや身体の動きを追っていたカメラが、得点が決まったあとには選手の顔のアップへとそのまま移行したりする。それは、プレーの緊張と、それが決まった喜びへという状況を主観的になぞろうとするカメラワークであって、プレーを客観的かつ正確にとらえようとする以上のものだ。なんというか、臨場感の演出なのだな。そういうところに、スポーツをショーアップする手法があって、そのスタイルは、スポーツ専門誌特有のリリシズムと無縁ではないのだろう。

照明とかも、影が無くてハイライトもない、落ち着いた感じをしている。これは、選手の目を邪魔せず、観客にも見やすいもので、ショーアップとは逆の方向だけど、昔はこんな質感ではなかった気がする。技術革新があったのだろうか。

プレーが決まったあとに、スローモーションでリプレイされたりするわけだけど、バレエや演劇の中継でスローモーションはありえない。それは、根本的に演技を変質させてしまうからだけど、スポーツにおいては、スローモーションはプレーを変質させはしない。ここに、同じ運動に関わるとはいっても、スポーツと身体表現との間の本質的な違いが現れている、というようなことを考えつつ見ていた。